『故郷の人々(スワニー河)/Old Folks at Home(Swanee River)』は、フォスターが25歳頃の作品。曲のタイトルにもある地名「Swanee River(スワニー河)」は、ジョージア州南部とフロリダ州北部を流れる河。
フォスターは最初に「スワニー河」ではなくサウスカロライナ州を流れるピディー川(the Pedee River, South Carolina) を選んでいたが、思いつきで彼のイメージにより近い発音だったスワニー(Swanee)に急遽変更された。
この辺は、音楽家ならではの美的感覚といったところであろうか。やはり、聞こえの良さだけで選んだということもあって、フォスターはスワニー河に一度も言ったことがないらしい(右写真の出典:Wikimedia Commons) 。
この曲が発表された1851年には昨年結婚した妻ジェーンとの間に長女マリアンが生まれており、その頃フォスターはすでに音楽を職業として作曲活動を続けていくことを決意していた。気力・能力ともに充実していた時期で、パパとなったフォスターの意気込みが感じられるような、後世まで評価の高い名曲といえる。
『故郷の人々(スワニー河)』の内容は、アメリカ南部でのプランテーションから逃れ、北部の自由州で生き延びる黒人達が、昔の子供の頃を懐かしく哀しく思い出す切ない曲となっている。
「故郷」が指す場所については、アメリカで生まれた黒人達にとってはアメリカが「故郷」になり、アフリカ大陸から連れて来られたばかりの黒人達にとっては、生まれ育ったアフリカ大陸の地元の村が「故郷」ということになるだろう。なお、彼らの北部への脱走を助ける活動があったことについては、『ドナドナ研究室 リパブリック讃歌 歴史編 6-3』逃亡を助ける秘密組織~地下鉄道~を参照されたい。
Way down upon de Swanee ribber,
Far, far away,
Dere's wha my heart is turning ebber,
Dere's wha de old folks stay.
スワニー河へ向かって、遠く、遠く
そこは私の心が向かうところ
そこは懐かしき仲間達がいるところ
All up and down de whole creation,
Sadly I roam,
Still longing for de old plantation,
And for de old folks at home.
人生の浮き沈みに 一人悲しくさまよう
今でも懐かしく思い出される
プランテーションで働いていた頃を
そして故郷の人々を
chorus:
All de world am sad and dreary,
Ebry where I roam,
Oh! darkeys how my heart grows weary,
Far from de old folks at home.
<コーラス>
この世は常に悲しく憂うつだ
私の行くところすべてが
ああ、私と同じ黒人達なら分かるだろう
故郷の人々から遠く離れて暮らす、この心の憂いが
2
All round de little farm I wandered
When I was young,
Den many happy days I squandered,
Many de songs I sung.
若い頃に歩き回った小さな農場では
たくさんの幸せな日々があり
たくさんの歌を歌った
When I was playing wid my brudder
Happy was I
Oh! take me to my kind old mudder,
Dere let me live and die.
兄弟と遊んでいた頃が幸せだった
ああ、優しい母さんのところへ連れて行ってくれ
私はそこで生き、そこで死にたいんだ
chorus:
3
One little hut among de bushes,
One dat I love,
Still sadly to my mem'ry rushes,
No matter where I rove
茂みの中にあった小屋が大好きだった
どこを歩いていても
悲しさと共に記憶がよみがえってくる
When will I see de bees a humming
All round de comb?
When will I hear de banjo tumming
Down in my good old home?
ハチの巣の周りでハチが飛ぶ音をいつ聴けるだろうか?
懐かしき故郷でバンジョーの音をいつ聴けるだろうか?
chorus:
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