「主人は冷たい土の中に(Massa's in de cold, cold ground )」は、「故郷の人々(スワニー河)」が発表された翌年の1852年の作品。プランテーションでの黒人達の悲哀を歌ったプランテーション・ソングの一つ。プランテーションを仕切っていた年老いた園主(主人)が亡くなり、そこで働いていた黒人達が、優しかった主人を偲んで嘆き悲しむという内容。
ちなみに、同じくプランテーションソングの「故郷の人々(スワニー河)」は、故郷を遠く離れ、アメリカのプランテーションで強制労働させられる黒人達の郷愁の想いをうたった曲。また、ケンタッキーフライドチキンのCMで有名な「懐かしきケンタッキーの我が家」も黒人霊歌の一つである。
この「主人は冷たい土の中に」を含め、初期の頃のフォスターの歌曲に共通して見られる特徴として「黒人英語」の歌詞の多用があげられる。黒人英語もいろいろ法則があるようだが、一例を示すと、thやvの音が発音できない(the→de)、促音が加わる(heaven→hebben)、単語の一部が省略して発音される(morning-mornin')などがある。これら黒人英語は、黒人が正式な教育を受けていなかったことやリズム感を重視した彼らの歌い方に起因するといわれる。
1
Round de meadows am a ringing
De darkey's mournful song
While de mocking bird am singing
Happy as de day am long
草原に響き渡る黒人達の悲しみの歌
過ぎ去りし日の幸せをマネツグミが歌う

Where de ivy am a creeping
O'er de grassy mound
Dare old massa am sleeping
Sleeping in de cold, cold graound
ツタが這う草深い土手に
主人は眠る、冷たい、冷たい土の中に
<chorus>
Down in de cornfield
Hear dat mournful sound
All de darkeys am a weeping
Massa's in de cold, cold gound
トウモロコシ畑では、悲しみの歌が聞こえる
黒人たちも皆泣いている
主人は眠る、冷たい、冷たい土の中に
2
When de autumn leaves were falling
When de days were cold
'Twas hard to hear old massa calling
Cayse he was so weak and old
秋の落葉、そして寒い日々がやって来る頃は、
主人の呼ぶ声が聞き取りづらい
彼はもう年老いて弱っていたから
Now do orange tree am blooming
On de sandy shore
Now de summer days am comming
Massa nebber calls no more
オレンジの木が茂り
砂浜に夏がやって来ても
主人の呼び声はもうしない
<chorus>
3
Massa made de darkeys love him
Cayse he was so kind
Now, dey sadly weep above him
Mournin cayse he leave dem behind
主人は黒人たちに愛されていた
彼はとても優しかったから
残された彼らはただ嘆き悲しむばかり
I can not work before tomorrow
Cayse de teardrop flow
I try to drive away my sorrow
Pickin' on de old banjo
働けないほどに涙は止まらない
古いバンジョーでもつまびいてみようか
悲しみを振り払うために
<chorus>
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