むすんでひらいての謎

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「むすんでひらいて」とルソーの関係とは?

ルソー
ジャン=ジャック・ルソー(出典:Wikipedia)

 一般的な音楽教材を見ると、作曲者・作詞者として「ルソー作曲・文部省唱歌」と記載されているのをよく見かけます。ルソーというと、「アンリ・ルソー」と「J・J・ルソー」の2人がすぐに思い浮かびますが、この「むすんでひらいて」と関連付けられているのは画家の方ではなく、思想家として有名な「J・J・ルソー」のようです(以下文中では単に「ルソー」と呼ぶ)。

 J・J・ルソー(Jean Jacques Rousseau/1712~1778)はスイスのジュネーブ生まれ。出生とともに母と死別し10歳の時には父の失踪に逢っています。フランス・イギリス等ヨーロッパ各地を転々としていく中、「人間不平等起源論(1755年)」「社会契約論(1762年)」を記し、人民主権を主張してフランス革命やアメリカの独立に大きな影響を与えた人物として非常によく知られています。

 世界史でもよく耳にするルソーが関係すると聞いて、「音楽の話をしているのに何故思想家であるルソーの名前が出てくるのか?」と疑問に思った方もいるかも知れませんが、彼は音楽家としても『優雅な詩の女神たち』(オペラバレエ)などの有名な作品を残しており、彼が作曲した楽曲の中に、このむすんでひらいて」の源流とされている曲があるようなのです。

 さてそれでは、ルソーの音楽作品の中で、「むすんでひらいて」のメロディーが抽出されたと思われる作品について具体的に見ていきたいと思います。

幕間劇「村の占師」と「むすんでひらいて」

 ルソーが生み出した楽曲の中で「むすんでひらいて」のルーツと思われるものを探してみると、最終的に『村の占師』というオペラに突き当たることになります。この『村の占師 Le Devon du vollage』は、1753年3月1日にオペラ座で初演されたもののようですが、このオペラの第8場の黙劇による劇中劇、いわゆる幕間劇(パントミム)の冒頭に現れる旋律が、日本における「むすんでひらいて」のメロディーに非常に似通っているのです。

 ルソーが作曲したものの中で、この『村の占師』のパントミム以外に「むすんでひらいて」のメロディーに結びつきそうな楽曲はないようですし、音楽の本や楽譜などで「むすんでひらいて/ルソー作曲」と書いてあるのを合わせて考えると、この『村の占師』のパントミムの冒頭部分の旋律と日本の「むすんでひらいて」がなんとなく直接結び付きそうな気配がしてきます。

 念のために、当時文部省が「むすんでひらいて」のメロディーを初めて日本で一般的に公表した頃の関連資料を見てみましょう。「むすんでひらいて」のメロディーがルソー作曲によるものならば、「村の占師」の一部の旋律が「むすんでひらいて」の元歌である旨の記載があってもおかしくないわけです。

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