夜明けの晩 意味・解釈 かごめかごめの謎

かごの中の鳥は いついつでやる?

「夜明けの晩に 鶴と亀がすべった」といえば、日本人なら誰もが『かごめかごめ』の歌詞の一部だとすぐにわかるが、その謎めいた歌詞の意味については今日でも様々な解釈が試みられており、結論は出ていない。

このページでは、『かごめかごめ』の歌詞から「夜明けの晩」について、ネットでどのような解釈が提唱されているのか、一通り簡単にまとめてみたい。

晩(ばん)の意味について

個々の説に移る前に、「夜明けの晩」の「晩(ばん)」の意味について軽く確認しておきたい。

まず主な意味合いとしては、太陽の動きに合わせた朝・昼・晩の区分における晩、いわゆる日暮れの状態を表す用法がある。

次に、太陽の動きとは関係なく、「晩年」や「晩秋」のように、時期的に遅れていること、ある期間の最後の時期を示す用法もよく見られる。

「夜明けの晩」の解釈においては、この2番目の「晩」の用法に基づき説明する考え方がある(後述の日の出直前説)。

「日の出」直前説

まず一つ目の解釈としては、「夜明けの晩」は日の出の直前の時間帯を表すとする説がある。

空が徐々に明るくなり始めてから日の出までの時間を「夜明け」と幅を持たせて定義し、その夜明けの終わり頃を「晩」として、「夜明けの晩」を説明する考え方だ。

ここでの「晩」は、太陽の動きとは切り離された時期的な意味合いで使われているので、「夜明け」と「晩」を矛盾なく説明することに成功している。

午前4時説

「夜明けの晩」が午前4時であるという説は次のとおり(Wikipediaより)。

「夜明けの晩」つまり「夜明けとも言える晩」であり、午前4時前後の時間帯を指している。

「夜明けとも言える晩」の部分が説明不足で若干意味が分かりにくいが、「夜明けに近い晩の時間帯」ということだろう。

午前1時説(七夕説)

「夜明けの晩」が午前1時を指すという説がネットで拡散されている模様。調べてみると、どうやら7月7日の七夕(たなばた)と関連づけられて説明されているようだ。

「夜明けの晩 午前1時」でGoogle検索を行い、1ページ目に表示された結果の中から、該当する記述をいくつか引用してみよう。

一般的に広く行われている七夕行事は、元々は宮中行事が始まりと言われています。 この七夕の夜(7月7日午前1時頃)は、別名で「夜明けの晩」と言い、この夜明けの晩に多くの 神社で神事が執り行われるのが、古来からの流れです。

引用元:愛知県名古屋市 ライフケアグループWebサイトより

こちらは仙台市で七夕飾りを製作している会社の公式サイトでの説明。

殆どの神事は、「夜明けの晩」(7月7日午前1時頃)に行うことが常であり、祭は7月6日の夜から7月7日の早朝の間に行われます。午前1時頃には天頂付近に主要な星が上り、天の川、牽牛星、織女星の三つが最も見頃になる時間帯でもあります。

引用元:仙台市 鳴海屋紙商事(株)Webサイトより

「7月7日午前1時説」の根拠としては、七夕の神事が行われる時間帯であること、七夕関連の星が見頃になること、などがあげられているが、その時間がなぜ「夜明けの晩」と呼ばれるのかについては何ら説明がされていないことには注意が必要である。

朝から晩まで説

「夜明けの晩」を「朝から晩まで」と解釈する説をWikipediaより引用する。

「夜明けの晩に」は「夜明けから晩に至るまで」という意味であり、「朝早くから夜遅くまで」という時間の経過を表している。

文字を強引に読み替えるという力業で、「夜明け」と「晩」の矛盾感をなんとか解消している。「カゴの中の鳥がいつでるの?」という問いにもちゃんと答えられている。

そんなの存在しない説

「夜明け」と「晩」の矛盾を無理に解消しようとせず、意図的に矛盾を表現した言葉遊びだとする説もあるようだ。Wikipediaから次のとおり引用する。

「夜明け」は夜が明けたときで、「晩」は夜のこと。つまり「夜明けの晩」とは「存在しない時間」のこと。

こういう表現は現代では珍しい用法ではなく、例えばNHK「みんなのうた」で1985年8月に初回放送された『まっくら森の歌』では、「近くて 遠い」、「きのうは あした」、「さかなは 空に」など、形容矛盾をあえて使うことで幻想的な世界観を表現している。

「急がば回れ」や「無知の知」などといった格言も、こうした形容矛盾の一つと言えるだろう。

まとめ

「夜明けの晩」の意味・解釈について代表的な説を簡単にまとめてみたが、それぞれの考え方があってどれも大変興味深い見解だ。

これ以外にも、怖い童謡系の愛好者にウケがよさそうなオカルト系の解釈もいつくか存在するが、それはそれ専門のサイトにお譲りすることとして、本稿を締めることとしたい。

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