お月さんいくつ(なんぼ) 歌詞の意味

あの子を産んで この子を産んで 誰に抱かしょ

わらべうた『お月さんいくつ』または『お月さんなんぼ』について、歌詞の「十三 七つ」の意味・解釈と、全国各地の様々な歌詞をまとめてみたい。

まずは代表的な歌詞とYouTube動画の視聴から。その後で「十三 七つ」の意味について解説し、最後に全国各地の歌詞をまとめていく。

代表的な歌詞

お月さんいくつ(なんぼ) 十三 七つ
まだ年ァ若いね あの子を産んで
この子を産んで 誰に抱かしょ
お万に抱かしょ お万どこへ行た
油買いに茶買いに 油屋の前で
滑って転んで 油一升こぼした
その油どうした 太郎どんの犬と
次郎どんの犬と みな舐めてしまった
その犬どうした 太鼓に張って
鼓に張って
あっち向いちゃドンドコドン
こっち向いちゃドンドコドン
たたきつぶしてしまった

【YouTube】 お月さんいくつ 東京の月の唄

「十三 七つ」の意味・解釈

歌詞の「十三 七つ」については、十三夜(じゅうさんや)の七つ時(4時ごろ)の出たばかりの月を意味するという解釈が一般的なようだ。

これに対し、元々の歌詞は「十三 一つ」であり、13+1=14で十四夜の月(十四日月)となり、その別名「小望月(こもちづき)」を意味している、との解釈もあるようだ(三重大学人文学部 文化学科研究紀要 武笠 俊一氏の説)。

小望月(こもちづき)は「子持ち」につながり、その後の歌詞「あの子を産んで この子を産んで」との親和性が高い。非常に興味深い解釈だ。

各地の『お月さんいくつ』

伊勢その1

お月つきさんぽつち
あなたはいくつ 十三 七つ
そりや まだ若いに
紅鉄漿(べにかね)つけて
お嫁入りなされ

伊勢その2

お月さんいくつ 十三 七つ
まだ年は若い 七折り着せて
おんどきよへのぼしよ(今度京へ上しょ)
おんどきよの道で 尾のない鳥と
尾のある鳥と けいつちいや あら
きいようようと鳴ないたとさ

紀伊

あとさんいくつ 十三 一つ
まだ年若いの 今度 京へ上って
藁の袴 織って着しよ

美濃

お月さまいくつ 十三 七つ
そりや ちと若いに
お御堂の水を どうどと汲もに

兵庫県赤穂郡

お月さんなんぼ 十三 九つ
まだ歳若い 若屋の門で
羽根三本ひろて 一文で油買い
二本でよばれ

不明

お月様いくつ 十三 七つ
七折著せて 京の町へのぼつて
彼方へしゃらり 此方へしゃらり
五条の橋で 笄(こうがい)落した
誰が拾った 櫛屋の息子が拾った
泣いてもくれず 笑うてもくれず
滑つて ころんで 七折汚した
洗屋で洗つて 干屋で干して
熨斗屋でのして 畳屋でたゝんで
手箱へ入れた

あとさまなんぼ/山口県

あとさまなんぼ 十三 九つ
そりゃまだ若いの 若いは道理
道理の道で 赤子をひろて
こりゃ誰に抱かしょ 花子さあに抱かしょ
花子さあどこ行た 油買いに茶買いに
油屋の前で 油一升かやした
その油どうした 太郎どんの犬と
次郎どんの犬と みんな来てなめた
その犬はどうした 太鼓にはって
あっち向いちゃ どんどんどん
こっち向いちゃ どんどんどん

関連ページ

有名なわらべうた
「あんたがたどこさ」、「はないちもんめ」、「おちゃらかほい」、「ずいずいずっころばし」など、日本の古いわらべうた
月ぬ美しゃ(つきぬかいしゃ)
月が美しいのは十三夜 娘が美しいのは一七歳
月のうた
『月(出た出た月が)』、『炭坑節(月が出た出た)』、『月の沙漠』、『うさぎ』など、月に関する日本の民謡・童謡・世界の歌まとめ
小望月(こもちづき)
満月の前日の夜の月。特に中秋の名月の前夜、陰暦8月14日の夜の月を指す。
月の満ち欠けと名前・呼び方・読み方 一覧
十五夜、望月、十六夜など、夜空の月の満ち欠けとその名前の呼び方・読み方、別名・異名の一覧、意味や由来・語源まとめ