春はうれしや(嬉しや) 歌詞の意味

美空ひばりもカバーした遊び心あふれる小粋な四季の端唄

端唄『春はうれしや(嬉しや)』では、春夏秋冬・四季折々の情景の中で、逢瀬を重ねる二人の男女の様子が描写されている。美空ひばりのカバーで知られる。

写真: 舞妓体験処 京都 ぎをん彩

歌詞では、仲の良い男女に空が嫉妬して、風雨や雲で二人の邪魔をするというおとぎ話のような描写も含まれている。

また、「話を菊の花」、「気を紅葉(もみじ)」などの掛詞(かけことば)も使われ、全体的に遊び心あふれる小粋な端唄となっている。

【試聴】 春は嬉しや (リマスター版)

歌詞

春はうれしや 二人揃うて花見の酒
庭の桜に朧月(おぼろづき)
それを邪魔する雨と風
チョイト 咲かせてまた散らす

夏はうれしや 二人揃うて鳴海(なるみ)の浴衣
団扇(うちわ)片手に夕涼み
雲が悋気(りんき)で月隠す
チョイト 蛍が身を焦がす

秋はうれしや 二人揃うて月見の窓
色々話を菊の花
しかとわからぬ主(ぬし)の胸
チョイト 私が気を紅葉(もみじ)

冬はうれしや 二人揃うて雪見の酒
障子開ければ銀世界
話も積もれば雪も積む
チョイト 解けます炬燵(こたつ)なか

歌詞の意味

「悋気(りんき)」とは、男女間のやきもち、嫉妬(しっと)。

朧月(おぼろづき)とは、春の夜に月がほのかに霞んでいる情景を指す季語。唱歌『朧月夜 おぼろづきよ』と同様。

鳴海の浴衣

鳴海(なるみ)の浴衣とは、愛知県名古屋市緑区の有松・鳴海地域を中心に生産される絞り染め「有松・鳴海絞り(ありまつ・なるみしぼり)」のこと。

江戸時代以降、日本国内における絞り製品の大半を生産しており、国の伝統工芸品にも指定されている。「有松絞り」、「鳴海絞り」と個別にも呼ばれる。

ちなみに、歌詞では花見、鳴海、月見、雪見と、同じ場所ですべて「み」の音で揃えられている。

写真:有松・鳴海の古い町並み(出典:愛知県観光協会 Aichi Now)

蛍が身を焦がす

「蛍が身を焦がす」とは、次のような有名な都々逸(どどいつ)が元ネタ。

恋に焦がれて 鳴く蝉よりも 鳴かぬ蛍が 身を焦がす

ままならぬ恋愛の苦しさに、燃えるような想いをぐっと胸の内にとどめて耐え忍ぶ様子が暗示されている。

掛詞 かけことば

「話を菊の花」は、「話を聞く」と「菊」の掛詞(かけことば)となっている。

同様に「気を紅葉」は、「気をもむ(意味:心配すること)」と「紅葉(もみじ)」の掛詞。

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