シューラ・ルーン
Siúil A Rún / Shule Aroon(Agra)

アイルランド民謡

『シューラ・ルーン Siúil A Rún / Shule Aroon(Agra)』は、戦いへ赴く恋人を想い嘆く女性の心境を歌った古いアイルランド民謡。曲名の意味は、『行って、愛しい人よ』。

1960年代にピーター・ポール&マリー(Peter, Paul, & Mary)が同曲を『Gone the Rainbow』(ゴーン・ザ・レインボー/邦題:虹と共に消えた恋)としてカバーし、世界的な知名度が向上したと思われる。

オリジナルの歌詞は不明で、様々な歌詞のバリエーションが存在する。一説によれば、17世紀半ばの名誉革命後にフランスへ亡命したアイルランドのジャコバイト(ジェームズ2世支持派)に関連付ける解釈があるようだ。

「ジキル博士とハイド氏 Dr.Jekyll and Mr.Hyde」を執筆したスコットランドの小説家ロバート・ルイス・スティーヴンソン(Robert Louis Stevenson/1850-1894)は、1889年出版の「バラントレーの若殿 Master of Ballantrae」の中で、フランスへ渡ったアイルランドのジャコバイトが『シューラ・ルーン』を歌っていた旨のくだりを設けている。

アメリカ独立戦争の歌にも

18世紀のアメリカ独立戦争(1775-1783)では、『シューラ・ルーン Siúil A Rún』を原曲とする『ジョニーは戦場へ行ってしまった Johnny Has Gone for a Soldier』が歌われたという。

ピーター・ポール&マリー(Peter, Paul, & Mary)がカバーした『Gone the Rainbow』は、原曲の『シューラ・ルーン Siúil A Rún』よりも、このアメリカ版『ジョニーは戦場へ行ってしまった』の方が歌詞の内容的に近い。

ケルティック・ウーマンやクラナドもカバー

『シューラ・ルーン Siúil A Rún』は、アイルランド系・ケルト系アーティストを中心に、ケルティック・ウーマン(Celtic Woman)、クラナド(Clannad)、セシル・コルベル(Cécile Corbel)、メアリー・ブラック(Mary Black)など、様々なアーティストによってカバーされている。

アメリカ版『ジョニーは戦場へ行ってしまった』の冒頭の歌詞から、『Buttermilk Hill』(バターミルク・ヒル)の曲名でカバーされている場合も見られる。

日本人では、フォークグループのビリーバンバン、奄美民謡歌手の元 ちとせ(はじめ ちとせ/1979-)などがカバーしている。後者はアイルランドのバンド、ザ・チーフタンズ(The Chieftains)とのセッションによるレコーディングが行われ話題となった。

【試聴】ケルティック・ウーマン Celtic woman

歌詞・日本語訳(意訳)

I wish I was on yonder hill
'Tis there I'd sit and cry my fill
And every tear would turn a mill
Is go dté tú mo mhuirnín slán

遠くの丘に行って
思いっきり泣きたい
涙で水車が回るほどに

Chorus
Siúil, siúil, siúil a rún
Siúil go socair agus siúil go ciúin
Siúil go doras agus éalaigh liom
Is go dté tú mo mhúirnín slán

<コーラス>
行って 愛しい人よ
そっと静かに出て行って
ドアまで行ったら 私を連れて逃げて
どうぞご無事で 愛しい人よ

I'll sell my rod, I'll sell my reel
I'll sell my only spinning wheel
To buy my love a sword of steel
Is go dté tú mo mhúirnín slán

糸巻き棒も糸巻きも 糸車も売るわ
愛しい人に鋼の剣を買うために

I'll dye my petticoats, I'll dye them red
And round the world I'll beg my bread
Until my parents shall wish me dead
Is go dté tú mo mhúirnín slán

コートを染めて 赤く染めて
町中でパンを恵んでもらうわ
親に見放されるぐらいに

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