Foggy Dew フォギーデュー

戦いの旗がダブリンの町に誇り高く翻る アイルランドの空の下で

『Foggy Dew フォギーデュー』は、北アイルランド・ダウン州(County Down)の聖職者Canon Charles O’Neill(1887-1963)が作詞した曲。

歌詞の内容は、アイルランドで1916年の復活祭(イースター)週間に勃発した「イースター蜂起 The Easter Rising」を題材としている。

出典:Indymedia Ireland

原曲は古いアイルランド民謡

原曲(メロディ)は、古いアイルランド民謡『The Moorlough Shore』。『Foggy Dew』はそのメロディのみを拝借した作品であり、原曲の歌詞はイースター蜂起とはまったく関係のないラブソングとなっている。

アイルランド民謡『The Moorlough Shore』の歌詞・日本語訳はこちら

イースター蜂起とは?その後の歴史

『Foggy Dew』の歌詞で描写されているイースター蜂起とは、簡潔に言えば、イギリスの支配から独立を試みたアイルランド共和主義者たちの武力蜂起である。

キリスト教の宗教行事である復活祭(イースター)が開催された1916年4月24日から4月30日の約1週間に渡り、ダブリンの主要部を占拠して闘争が繰り広げられた。

イースター蜂起の中心となった当時の中央郵便局(GPO)

アイルランド独立戦争へ突入

イースター蜂起自体は鎮圧されてしまったが、議会では独立を支持する共和主義者が勢力を増し、ついに1919年1月、シン・フェイン党議員らは第一回アイルランド国民議会(First Dáil)を開催。アイルランド共和国の樹立が宣言され、両国はアイルランド独立戦争へ突入していった。

1921年にアイルランド独立戦争が終結すると、イギリスの自治領としてアイルランド自由国が成立。931年に成立したウェストミンスター憲章により、アイルランドはイギリスと対等な主権国家(英連邦王国)となった。

1938年にはイギリスが独立を承認、1949年にはイギリス連邦を離脱し、アイルランドは完全な共和制に移行した。

2016年には、イースター蜂起100周年を記念する国家的式典が開催される予定。

関連音楽ページ

アイルランド民謡の有名な曲
『ダニーボーイ』、『サリーガーデン』、『アイルランドの子守歌』など、世界的に有名なアイルランド民謡の解説・歌詞・日本語訳とYouTube動画の視聴
アイルランド国歌
アイルランド独立の歴史、アイルランド国歌の歌詞・日本語訳とYouTube動画の視聴

【試聴】アイルランド民謡「Foggy Dew」

歌詞・日本語訳(意訳・大意)

As down the glen one Easter morn to a city fair rode I
There Armed lines of marching men in squadrons passed me by
No pipe did hum, no battle drum did sound its loud tattoo
But the Angelus Bell o'er the Liffey's swell rang out in the foggy dew

復活祭(イースター)の朝 谷をくだり町へ向かう途中で
騎兵隊の列が私を追い越していった
笛も太鼓も鳴らさぬまま
霧の中 アンジェラスの鐘がリフィー川に鳴り渡る

Right proudly high over Dublin Town they hung out the flag of war
'Twas better to die 'neath an Irish sky than at Sulva or Sud El Bar
And from the plains of Royal Meath strong men came hurrying through
While Britannia's Huns, with their long range guns sailed in through the foggy dew

戦いの旗がダブリンの町に誇り高く翻る
異国の地ではなくアイルランドの空の下で死ぬのだ
ミースから駆けつける強者たち
霧の中 野蛮なイギリス軍がやってくる

Oh the night fell black, and the rifles' crack made perfidious Albion reel
In the leaden rain, seven tongues of flame did shine o'er the lines of steel
By each shining blade a prayer was said, that to Ireland her sons be true
But when morning broke, still the war flag shook out its folds in the foggy dew

闇夜に響く銃声 よろめく不実のアルビオン(イギリスを揶揄する表現)
鉛の雨の中 銃剣にきらめく銃火
一振りごとに捧げる祈り「アイルランドに忠義を」
夜明けの霧の中 戦いの旗はなお翻り続けた

'Twas Britannia bade our Wild Geese go that small nations might be free
But their lonely graves are by Sulva's waves or the shore of the Great North Sea
Oh, had they died by Pearse's side or fought with Cathal Brugha
Their names we will keep where the fenians sleep 'neath the shroud of the foggy dew

イギリスがワイルド・ギース(アイルランド人傭兵)を戦争へ駆り出し
彼らの亡骸は異国の地で葬られる
ああ、イースター蜂起の英雄らとともに戦ってくれていたら
彼らの名は我らが受け継ぐ フェニアンの戦士が眠る この霧の中で

But the bravest fell, and the requiem bell rang mournfully and clear
For those who died that Eastertide in the springing of the year
And the world did gaze, in deep amaze, at those fearless men, but few
Who bore the fight that freedom's light might shine through the foggy dew

勇敢な者は倒れ 鎮魂の鐘が哀しく鳴り響く
春めく復活祭の季節に命を落とした者たちのために
恐れを知らぬ精鋭たちに世界は括目した
深い霧の中 自由の光が輝くまで 戦いは終わらない

Ah, back through the glen I rode again and my heart with grief was sore
For I parted then with valiant men whom I never shall see more
But to and fro in my dreams I go and I'd kneel and pray for you,
For slavery fled, O glorious dead, When you fell in the foggy dew.

谷間を戻りながら悲嘆に暮れた
勇敢な男たちとの永遠の別れに
夢の中どこに行こうと ひざまずき祈ろう
深い霧の中 隷属を破った栄光ある犠牲のために