日本人が始めて日本語で歌い、日本人に最も愛唱されたと言っても過言ではない讃美歌「主われを愛す」。
元々の歌詞(英語)は1860年に出版されたアンナ・ワーナー(Anna Bartiett Warner/1820-1915)の小説「Say and Seal(1860)」の第2巻第8章の一節。 主人公の少女フェイスが見守るなか天に召されようとする幼いジョニーの口から漏れ聞こえる歌であった。
その後David Rutherford McGuireによって新たな節が加えられ、1862年にブラッドベリー(William Batchelder Bradbury/1816-1868)によってメロディーが付けられたときにコーラス部分が付け加えられた。
この「主われを愛す」のメロディーは、明治26年には唱歌「運動」、明治後期には唱歌「虹」など、日本でいくつかの唱歌に用いられている。
日本人なら一度は耳にしたことのあるであろう童謡「シャボン玉」。作曲は「証城寺の狸囃子」や「黄金虫(こがねむし」などでおなじみの中山晋平。このメロディーが「主われを愛す」の曲調と非常に良く似ていることは結構有名だが、実は似ているのは意外にもメロディーだけではなかった。
「シャボン玉」の作詞者である野口雨情は、明治41年3月に長女みとりを生まれてすぐに亡くすという体験をしている。
はかなき幼い命への切ない想いが「シャボン玉」の歌詞に込められていると言われているが、「主われを愛す」の原詩も若くして亡くなった少年の話であり、「消え行く幼き命への祈り」という点が共通していると言える。
野口雨情又は中山晋平がこの原詩のストーリーを知っていたのかについては定かではないが、この共通点は非常に興味深い。
ちなみに、奈良教育大学の安田寛教授はその著書の中で「シャボン玉」と「主われを愛す」の関係について以下のように指摘している。
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・・・童謡「シャボン玉」と讃美歌「主われを愛す」の類似は他人の空似などではけっしてなく、「シャボン玉」は「主われを愛す」の生まれ変わりであるといわざるを得ない。 「唱歌という奇跡 十二の物語~讃美歌と近代化の間で」より引用 |
讃美歌「主われを愛す(Jesus Loves Me)」
作曲:ブラッドベリー(William BatchelderBradbury/1816-1868)
from THE CYBER HYMNAL
【書籍】 「唱歌」という奇跡 十二の物語―讃美歌と近代化の間で
キリスト教に基づく近代教育は圧倒的な力でアジア太平洋地域を席捲した。讃美歌によって、各地の長い伝統をもつ歌謡も根絶やしにされる。中で唯一、讃美歌を換骨奪胎して新しく生まれた“奇跡”が日本の「唱歌」だった。それは自前で近代教育ができるかどうかとも関わる問題だった……。 「むすんでひらいて」「蛍の光」「蝶々」など、十二の唱歌に秘められた、歴史の深層を浮き彫りにする。
「世界の民謡・童謡」や「唱歌」と讃美歌の不思議で複雑な関係を調べていくのに必要不可欠な一冊。安田先生の著書は非常に読みやすく、かつ内容の濃いものばかりで、世界の民謡・童謡と讃美歌の関係について興味のある方には間違いなくオススメできる良書。
なによりうれしいのは,全曲SPメタル原盤からの復刻だということ。八十/晋平のコムポーザー・チームは変わりゆく東京への愛を「東京行進曲」→「銀座の柳」をへて「東京音頭」で夏の天空へと爆発させて,昭和8年,真に昭和の幕を開けたのである。中山晋平生誕100年記念の3枚。歌って踊れる歌謡トラディショナルだ。
Jesus loves me! This I know,
For the Bible tells me so.
Little ones to Him belong;
They are weak, but He is strong.
Chorus:
Yes, Jesus loves me!
Yes, Jesus loves me!
Yes, Jesus loves me! The Bible tells me so.
主われを愛す 主は強ければ
われ弱くとも 恐れはあらじ
(くりかえし) わが主イェス わが主イェス
わが主イェス われを愛す
わが罪のため さかえをすてて
天(あめ)よりくだり 十字架につけり
みくにの門(かど)を ひらきてわれを
招きまたえり いさみて昇らん
わが君(きみ)イェスよ われをきよめて
よきはたらきを なさしめたまえ