カチューシャ 歌詞の意味・和訳

乙女の歌よ! 太陽をかすめ 鳥の如く飛んでゆけ!

カチューシャ』(Katyusha/Катюша)は、1938年にロシアの人気フォーク歌手リディヤ・ルスラノヴァによって初演されたロシア歌曲

日本では、「りんごの花ほころび」の歌い出しで知られる日本語歌詞で親しまれている。日本語歌詞の内容については後掲する。

原曲のロシア語の歌詞では、出征した恋人を想う少女カチューシャの切ない思いが描写されている。

「カチューシャ Katyusha」とは、ロシアの一般的な女性名で、エカテリーナ(Ekaterina)の愛称。

当初歌詞は2番までしかなかったが、後に追加された3番・4番の歌詞で、カチューシャという娘の恋人が兵士であることが明確化され、境遇を同じくする戦場のソ連兵らによって広く愛唱された。

【YouTube】カチューシャ ロシア語原曲

歌詞の意味・和訳

Катюша

作詞:ミハイル・イサコフスキー

作曲:マトヴェイ・ブランテル

Расцветали яблони и груши,
Поплыли туманы над рекой;
Выходила на берег Катюша,
На высокий берег, на крутой.

咲き誇るリンコと梨の花
川面にかかる朝靄
若いカチューシャは歩み行く
霧のかかる険しく高い河岸に

Выходила, песню заводила
Про степного, сизого орла,
Про того, которого любила,
Про того, чьи письма берегла.

カチューシャは歌い始めた
誇り高き薄墨色の鷲の歌を
彼女が深く愛する青年の歌
大事に持ってる彼からの手紙

Ой, ты песня, песенка девичья,
Ты лети за ясным солнцем вслед,
И бойцу на дальнем пограничье
От Катюши передай привет.

おお 歌よ 乙女の歌よ
太陽をかすめ 鳥の如く飛んでゆけ
遠い国境の若き兵士の元へ
カチューシャの想いを届けるのだ

Пусть он вспомнит девушку простую,
Пусть услышит, как она поёт,
Пусть он землю бережёт родную,
А любовь Катюша сбережёт.

彼は思い起こすか 純真な乙女を
彼は聞くだろうか カチューシャの澄んだ歌声を
彼は愛すべき祖国の地を守り抜き
カチューシャは愛を強く守り抜く

Расцветали яблони и груши,
Поплыли туманы над рекой;
Выходила на берег Катюша,
На высокий берег, на крутой

咲き誇る林檎と梨の花
川面にかかる朝靄
若いカチューシャは歩み行く
霧のかかる険しく高い河岸に

日本語歌詞

【YouTube】カチューシャ 日本語訳詞

日本語版『カチューシャ』は、原曲のロシア語の歌詞と比べて、どのような内容になっているのだろうか?

訳詞:関鑑子による『カチューシャ』日本語歌詞を次のとおり引用して、その内容を簡単に確認してみよう。

1.
りんごの花ほころび 川面に霞たち
君なき里にも 春はしのびよりぬ
君なき里にも 春はしのびよりぬ

2.
岸辺に立ちて歌う カチューシャの歌
春風やさしくふき 夢がわくみ空よ
春風やさしくふき 夢がわくみ空よ

3.
カチューシャの歌声 はるかに丘をこえ
今なお君をたずねて やさしその歌声
今なお君をたずねて やさしその歌声

4.
りんごの花ほころび 川面に霞たち
君なき里にも 春はしのびよりぬ
君なき里にも 春はしのびよりぬ

歌い出しの「りんごの花ほころび」については、ロシア語の原曲の歌詞でもリンコとナシの花についての描写がある。

そのほか、川岸の霞(かすみ)の描写や、カシューシャが歌う様子など、原曲の歌詞を踏まえた内容となっているのが分かる。

ヘアバンドのカチューシャとの関係は?

頭に付けて髪の毛を押さえるC字型のヘアバンド(ヘッドバンド)を日本では「カチューシャ」と呼ぶが、この名前の由来・ルーツはロシア歌曲と関係があるのだろうか?

調べてみると、トルストイの小説『復活』の主人公「カチューシャ」がその由来のようで、ロシア歌曲とはまったく関係がないようだ。

日本では大正時代に同作を題材にした演劇が大人気となり、カチューシャの名前をつけた様々な商品が発売される中で、ヘアバンドの名前として「カチューシャ」が用いられ、今日まで定着しているとのこと。

各国へのカチューシャの影響

流行歌『カチューシャ』の名前は、ソ連が開発した自走式多連装ロケット・ランチャーの愛称としても定着した。一説によると、製造元の刻印「К」に関連付けられたようだが、流行歌の曲名が本当にルーツかどうかは定かではない。

また、ソ連での流行を受け、『カチューシャ』はドイツ語、中国語、ベトナム語などに翻訳されたほか、イタリアでは独自の歌詞がつけられ、パルチザン蜂起を呼び掛ける歌『風は鳴る Fischia il vento』として歌われた。

日本では、戦後の「うたごえ運動」における定番曲の一つとして愛唱されたほか、ファミコン版「テトリス」では、各ラウンドのフィナーレでBGMに使用された。

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