ともしび ロシア歌曲

夜霧のかなたへ 別れを告げ/戦地に赴く若者と残された少女の絆

『ともしび』(Огонёк)は、イサコフスキーの詩に、ロシアの古い民謡の旋律をのせて歌われたロシア歌曲

NHK「みんなのうた」では1966年12月に「ロシア民謡」として初回放送された(日本語歌詞:峯陽)。

歌詞では、前線へ送られる兵士と残された少女の愛が描かれる。日本では、楽団カチューシャの訳詞「夜霧のかなたへ 別れを告げ・・・」で有名。

日本語版ではゆっくりとしたテンポで叙情的に歌われるが、ロシアでは早めのテンポで行進曲風に歌われることが多い。

「ともしび」といえば、1950年代に流行した歌声喫茶「灯(ともしび)」が思い出される。

歌声喫茶の人気は、労働運動、学生運動の高まりとともに急上昇し、店内は毎日のように人であふれ、最盛期には全国で100軒を超える店があったという。また店の看板的存在であるリーダーの中からは、上条恒彦のようにプロの歌手としてデビューした者もいた。

昭和40年頃をピークに歌声喫茶のブームは急速に衰退、その後の10年ほどでほとんどの店が閉店した。現在も往時を懐かしむ客層向けにいくつかの店が営業しているようだ。

【YouTube】ともしび (歌詞つき) 鮫島有美子

日本語歌詞(楽団カチューシャ版)

1.
夜霧のかなたへ 別れを告げ
雄々(おお)しき ますらお
出(いで)て行く
窓辺にまたたく ともしびに
つきせぬ乙女の 愛のかげ

2.
戦いに結ぶ 誓いの友
されど忘れえぬ 心のまち
思い出の姿 今も胸に
いとしの乙女よ 祖国の灯(ひ)よ

3.
やさしき乙女の 清き思い
海山はるかに へだつとも
二つの心に 赤くもゆる
こがねのともしび 永久(とわ)に消えず

4.
変らぬ誓いを 胸にひめて
祖国の灯のため 闘わん
若きますらおの 赤くもゆる
こがねのともしび 永久に消えず

歌詞の意味・和訳

【YouTube】ともしび ロシア語

На позиции девушка
Провожала бойца.
Темной ночью простилася
На ступеньках крыльца.
И пока за туманами
Видеть мог паренек,
На окошке на девичьем
Все горел огонек.

前線に向かう兵士を見送る少女
玄関口で別れを告げた
夜霧の中 旅立つ若者
少女の窓辺に灯るともしび

Парня встретила славная
Фронтовая семья,
Всюду были товарищи,
Всюду были друзья.
Но знакомую улицу
Позабыть он не мог:
Где ж ты, девушка милая?
Где ж ты, мой огонек?

若者を迎える前線の兵士
素晴らしき同士達
されど忘られぬあの街角
愛しき少女 私のともしび 今何処に

И подруга далекая
Парню весточку шлет,
Что любовь ее девичья
Никогда не умрет;
Все, что было загадано,
В свой исполнится срок,-
Не погаснет без времени
Золотой огонек.

若者に宛てた少女の手紙
「私の愛は変わることなく
貴方の使命が果たされるその日まで
灯り続ける黄金のともしび」

И просторно и радостно
На душе у бойца
От такого хорошего
От ее письмеца.
И врага ненавистного
Крепче бьет паренек
За советскую Родину,
За родной огонек.

喜びに満ちる若者の心
手強き敵も打ちのめされん
祖国ソヴィエトのために
懐かしきともしびのために

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