ひとやまこえて(一山越えて)わらべうた

保育園で歌うわらべうた 鬼ごっこの直前に歌うキツネの歌だった

『ひとやまこえて(一山越えて)』は、保育園でよく歌われる日本のわらべうた。

保育園ではタヌキの歌として歌う場合が多いが、もともとはキツネが登場する歌で、鬼ごっこの直前に鬼(キツネ)と対話する形で歌う遊び歌だった。

鬼ごっこの直前に鬼と会話するわらべうたとしては、『今年の牡丹はよい牡丹』、『あぶくたった にえたった』などが今日でも知られている。

キツネ タヌキ リス 栗

タヌキの歌として歌う場合、歌い出しの「ひとやまこえて ふたやまこえて」を省略して、「たぬきさん たぬきさん 遊ぼじゃないか」から歌い始める場合があるようだ。

また、タヌキが登場する人形劇のような遊び方をする場合もあり、その場合はタヌキの相手役としてウサギやサル、キツネなどが登場するケースが見られる。

このページでは、キツネが登場する『ひとやまこえて(一山越えて)』の歌詞の一例と、タヌキが登場する保育園バージョンの歌詞を簡単にまとめておく。

【YouTube】 わらべうた「ひとやまこえて」

歌詞の一例

皆:一山(ひとやま)越えて
  二山(ふたやま)越えて
  三山(みやま)の奥に
  灯(ひ)がちょんぼり見えた
  狐(きつね)さん 狐さん
  遊ぼうじゃないか

鬼(狐):今ねんねの最中(さいちゅう)

皆:お寝坊じゃないか

鬼:いま顔洗う最中

皆:おしゃれじゃないか

鬼:いまご飯を食べる最中

皆:おかずはなぁに

鬼:ヘビとカエル

皆:生きてるか 死んでるか

鬼:生きている(死んでいる)

<出典:島根県 出雲かんべの里 Webサイト>

<注:酒井董美「島根・鳥取のわらべ歌」でもほぼ同様の歌詞>

<補足>

「三山(みやま)」は「三つ目の山」という意味と、「深い山」を意味する「深山」(みやま)の二重の意味が考えられる。

最後に鬼(キツネ)が「生きている」と言った場合、その直後に鬼ごっこが始まる。

『きつねさん』

きつねさん きつねさん
あそぽうじゃないか

今お化粧の最中

きつねさん きつねさん
あそぼうじゃないか

今勉強の最中

きつねさん きつねさん
あそぼうじゃないか

今ごはんの最中

おかずはなあに

蛇にカエル

生きとるか 死んどるか

<出典:岡山県 美作(みまさか)女子大学 紀要「津山のわらべうた(1)」杉山知子・井戸和秀>

たぬきバージョン その1

ひとやまこえて ふたやまこえて
みやまのたぬきさん
たんたんたぬきさん
あそぼじゃないか

いまはごはんの まっさいちゅう

おかずはなあに

うめぼしこうこ

ひとくちちょうだい

いやいやしんぼ

<出典:ヤフー知恵袋>

歌詞の意味・補足

「こうこ」とは、つけもの・お新香・おしんこ。特に関西圏で「こうこ」は「たくあん」を意味することがある。

「いやしんぼ」は、食べ物について意地汚いこと、食いしん坊。「いやしい」+「んぼう」。

「いや」は、「いやしんぼ」の「いや」と、拒絶を表す「嫌(いや」の二つが掛かっている。

最後に「いや」と歌うわらべうた「おてぶしてぶし」があるが、両曲の関係は不明。

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