あぶくたった

日本の童謡・わらべうた/煮えたかどうだか食べてみよう♪

あぶくたった にえたった
にえたか どうだか 食べてみよう

このような歌い出しから始まる『あぶくたった』は、何人かの子供たちが輪になって遊ぶ日本の古い童謡・わらべうた

写真:「あぶくたった」で遊ぶ幼稚園児(愛知県大府市ホームページより)

複数の子供たちが手をつないで輪を作り、中に一人鬼役の子を入れて、時計回りに回りながら歌い進めていく。

怖い童謡?本当の意味は?

わらべうた『あぶくたった』の前半部分では、「煮えたかどうだか食べてみよう」と何かを煮ている描写がなされているが、これは一体何を煮ているのだろうか?

子供たちが実際に輪になって遊ぶ場合には、いわゆる鬼ごっこの鬼の役(おばけの役)をする子供が輪の中に入るが、これを「追いかける役割」としての鬼ではなく、ツノの生えた実体のある怪物としての鬼として捉えてしまうと、ちょっと怖い意味の童謡になってしまう。

『あぶくたった』の後半の歌詞では、煮て食べた物が夜におばけになって出てくるというストーリー展開になり、ここから鬼ごっこのような遊び方につながっていくのだが、そこは「鬼」という言葉自体に問わられず、ニワトリやブタのように普段の生活で煮て食べている食用の生き物が夜に「おばけ」になって出てきたと考えるのが、(それが面白いかは別として)幼児の教育上、道徳的に妥当な解釈と言えるだろう。

煮る、寝る、おばけの3部構成

今日広まっている『あぶくたった』の一般的なストーリーは、大きく分けて3つ、「煮る(食べる)」、「寝る」、「おばけ出現(そして鬼ごっこへ)」という三部構成になっているようだ。

曲名である『あぶくたった』が直接関連してくるのは第1部の「煮る(食べる)」パートのみ。第2部の「寝る」、第3部の「おばけ出現」パートは、場面設定や状況がそれぞれ明確に分離されている。

第1部 「煮る(食べる)」

第1部「煮る(食べる)」パートは、他のパートと比べて古い「わらべうた」としての色合いが最も強く感じられる場面と言える。

これは筆者の勝手な想像だが、わらべうた『あぶくたった』は元々この第1部のパートのみの歌だったのではと思われるほど、残りのパートとの空気感の違い、温度差が感じられる。

実際、どの時代や地方の替え歌を見ても、この第1部パートの歌詞にはバリエーションがほとんど見られないように思われ、この部分を土台に、後世になって第2部、第3部のストーリーが加えられていったのではと推測されるが、本当のところは全くもって不明だ。

あぶくたった にえたった
にえたか どうだか
食べてみよう

むしゃ むしゃ むしゃ
まだ にえない

あぶくたった にえたった
にえたか どうだか
食べてみよう

むしゃ むしゃ むしゃ
もう にえた

第2部 「布団を敷いて寝る」

第2部「寝る」パートでは、場面は夜になり、布団に入って寝るまでの様子が描写される。この第2部からは数多くの替え歌が存在し、時代や地域によって様々な遊び方がネットでも確認できる。その歌詞の一例を挙げてみよう。

歌詞の例 その1

皿を洗って棚にしまって
お便所いってお布団敷いて
電気を消して「おやすみなさーい」

歌詞の例 その2

戸棚にしまって鍵を掛けて がちゃがちゃがちゃ
お風呂に入って ごしごしごし
お布団引いてねーましょ

歌詞の例 その3

戸棚に入れて 鍵を掛けて ガチャガチャガチャ
御飯を食べて ムシャムシャムシャ
お風呂に入って ゴシゴシゴシ
布団を敷いて 寝ましょ

歌詞の例 その4

お皿を洗って ガチャガチャガチャ
棚にしまって ゴトゴトゴト
テレビを見て ワイワイワイ
トイレに行って ジャージャージャー
お布団ひいて ヨイショヨイショヨイショ
電気を消してさぁねよう。

この第2部は時代や地域によってかなりの替え歌があるようで、歌の長さや内容は多岐にわたるようだが、ストーリーの展開・結末としては、夜になって布団を引いて電気を消して寝ましょう、というオチになるのはお約束なようだ。

だが、第2部がまったく存在せず、いきなり夜中になって「お化け出現」の話に飛ぶバージョンの替え歌もあるようで、なかなか奥が深い。この第2部省略バージョン(二部構成版)の歌詞は後述する。

第3部 「おばけ出現」

わらべうた『あぶくたった』最終パートである第3部「おばけ出現」では、夜中に正体不明の何かが、カタカタカタ、トントントンと物音を立て、しばらく問答を繰り返した後に、自らがお化けであることを明かし、寝ていた者を驚かせる展開となる。

実際に子供たちが遊ぶ際には、このお化けが鬼ごっこの鬼のような位置付けで、周りにいた子供たちを追いかけていくことになる。それでは第3部「おばけ出現」の歌詞の一例を見てみよう。

歌詞の例 その1

鬼:「カタカタカタ」
周りの子供:「何の音?」
鬼:「風の音」
周りの子供:「あーよかった!」
鬼:「カタカタカタ」
周りの子供:「何の音?」
鬼:「おばけの音!」
周りの子供:「キャー」

歌詞の例 その2

鬼:トントントン
周りの子供:何の音?
鬼:風の音
鬼:トントントン
周りの子供:何の音?
鬼:おばけだー!
周りの子供:わー!

この第3部にも様々なバリエーションの替え歌が存在するが、鬼の役の子供と他の子供がお約束的な会話を何度かはさむのがお決まりのようで、最後には「お化けだー!」と正体を明かして、そこから鬼ごっこへと移行し、捕まった人が次の鬼役となるという遊びが繰り返される。

二部構成バージョン

既に少し説明したが、第2部の「布団を敷いて寝る」パートを省略して、この第3部「お化け出現」パートへ移行する替え歌も存在する。この第2部が省略版されるバージョンでは、お化けパートは次のような歌詞となる。

歌詞の例 その1

となりの おばさん
時計は なんじ
夜中の2時
ほんとの おなまえ
なんと いうの
ヤナギの 下の
おおにゅうどう

歌詞の例 その2

夜中の三時
おばさんの名前はなーに?
おきく
本当の名前はなーに?
柳の下の 猫幽霊

この第2部省略パターンでは、深夜におばさんが登場し、本当の名前を聞くと実はおばさんは妖怪だったというストーリーが展開されるようだ。

なお、「第2部が省略される」と書いたが、おそらく替え歌が成立した時系列的には、わらべうた『あぶくたった』は、しばらく2部構成だったものが、後世になって脚色されて3部構成になったのではないかと筆者は想像している。

筆者の私見を最初からまとめて繰り返すと、『あぶくたった』はもともと第1部のみのわらべうたで、後に「おばさん登場」パターンの2部構成となり、さらに後の時代に自由に替え歌が進んだ結果、3部構成の劇場的な展開に発展していったのではないかと勝手に推測している。

今後も時代が更に進んでいけば、また新たなストーリー展開が付け加えられるなどして、新たな変化を遂げることがあるのだろうか。時代を超えて愛唱されるわらべうたの文化は本当に素晴らしいものだ。

日本の民謡・童謡・唱歌 歌詞と視聴

【試聴】わらべうた 『あぶくたった』

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