梅にも春 歌詞の意味

朝日にしげき人影を 若しやと思う恋の欲

端唄『梅にも春』では、新春の風物詩が描かれる中で、恋人を待つ女性のそわそわとした気持ちや女心・恋心がしっとりと表現されている。

「若水」や「鳥追い」、「辻占(つじうら)」など、現代ではあまりなじみのない単語がいくつか使われている。それぞれの歌詞の意味については後述する。

写真:長岡天満宮の白梅(出典:Wikipedia)

歌詞

梅にも春の 色そえて
若水汲みか 車井戸
音もせわしき 鳥追いや
朝日にしげき 人影を
若しやと思う 恋の欲
遠音(とおね)神楽や 数とりの
待つ辻占(つじうら)や 鼠鳴き
逢うてうれしき 酒(ささ)機嫌
こい茶が出来たら 上がりゃんせ
(ササもっといで)

【試聴】京都・八坂神社 先斗町歌舞会 梅にも春

若水(わかみず)とは?

若水(わかみず)とは、元日の朝に初めて井戸から汲んだ水のこと。ハツミズ、アサミズとも呼ばれる。若水は邪気を除くと信じられた。

若水を汲みに行くときは、元日の朝に誰かに会う前に汲む必要があり、もし人に会っても口をきかない仕来たりもあったという。

鳥追い(とりおい)の意味

鳥追い(とりおい)とは正月の祝い芸で、子どもたちが鳥追いの歌を歌いながら村中を回る。小正月の年中行事としても行われる。

各戸を回って鳥追い唄を歌う門付芸としても広まり、鳥追いに扮した女性の衣装は、今日では阿波踊りの衣装として現代まで伝えられている。

数とりの待つ辻占

「数とりの待つ辻占」とは、通りで新年の運勢を占う数取りの占い師らのこと。「数とり」とは数を数えることなので、何らかの数を数えて占いが行われていたのだろう。

ちなみに、江戸時代には通りで売られるおみくじも辻占と呼ばれ、おみくじを入れて焼いた煎餅やお菓子は辻占煎餅・辻占菓子と呼ばれた。これが後にアメリカへ伝わり、フォーチュン・クッキーとして定着したとする説もある。

鼠鳴き

「鼠鳴き ねずみなき(ねずなき)」とは、忍んできた男が女の元に近付いたときや、遊女が客を呼び入れようとする際の、ネズミの声の鳴き真似。

ちなみに、吉原など江戸の遊郭では、毎日店を開く際、店の責任者の男性が廊下や柱を木の板で打ち付け、鼠鳴きをする儀式が行われていた。

1987年公開の東映映画「吉原炎上」では、花魁達がズラリと並ぶ冒頭の場面で、左とん平が演じる責任者の男が鼠鳴きをするシーンが登場する。

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