玉川学園・岡本敏明とツィンメルマン博士

日本に伝えられた童謡『かえるの合唱』

童謡『かえるの合唱』訳詞者として知られる岡本敏明(おかもと としあき/1907-1977)は、宮崎県出身の作曲者・指揮者・教員。

東京高等音楽学院(現・国立音楽大学)を卒業後、小原國芳(おばら くによし)が1929年に創立した玉川学園(東京都町田市)に音楽の教員として採用される(校歌を作曲)。

写真:来日したツィンメルマン博士(出典:玉川学園Webサイト)

ツィンメルマン博士 玉川学園へ来訪

1930年、小原國芳と親交のあったスイスの教育者ヴェルナー・ツィンメルマン(Werner Zimmermann/1893-1982)が初来日。玉川学園に一ヶ月以上留まり、スイスの歌や踊り、ドイツ語などを生徒たちに教え伝えていった。

玉川学園の音楽教師として、ツィンメルマン博士の音楽教育指導に熱心に耳を傾ける岡本敏明。博士が教える数々の曲はどれも良い曲だったが、輪唱で歌われる「とある曲」が岡本の関心を強く引いた。『かえるの合唱』原曲との出会いである。

日本の生徒たちも歌えるように、岡本は『かえるの合唱』の日本語歌詞を作詞(訳詞)。「かえるのうたが きこえてくるよ クワッ クワッ クワッ クワッ♪」と親しみやすい歌詞と輪唱の面白さが人気を博し、日本中に知れ渡る国民的な童謡として定着していった。

原曲はドイツ民謡? バッハやチャイコフスキー作品にも

玉川学園を訪れたツィンメルマン博士によって日本に紹介された童謡『かえるの合唱』は、一般的には何らかのドイツ民謡であると説明されることが多いが、ドイツ語圏のWebサイトなどで調べても該当する原曲について全く情報が得られない。

『かえるの合唱』に似たメロディは、バッハやチャイコフスキーらによる楽曲の中にも用いられており、その原曲の正体については謎が深まるばかりだ。

『かえるの合唱』原曲 関連ページ

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3つのウクライナ民謡が楽曲に大胆に取り入れられた陽気な交響曲。かえるの合唱(かえるの歌)に良く似たフレーズも登場。
かえるの合唱
かえるのうたが きこえてくるよ クワッ クワッ クワッ クワッ♪
有名なドイツ民謡・歌曲
『ローレライ』、『こぎつね』、『魔王』など、日本でも有名なドイツ民謡・歌曲