初恋 島崎藤村 歌曲 歌詞の意味

林檎をわれに与えしは 人恋初めしはじめなり

『初恋』(はつこい)は、島崎藤村の詩集『若菜集』に収められた詩、および同詩を歌詞とした日本の歌曲。

歌詞では、「林檎(りんご)」がキーワードとして3回も使われており、初恋の甘酸っぱさや男女の若々しさなどの描写に象徴的に用いられている。

リンゴを手渡し

また、歌詞では「初めし」というフレーズも3回用いられており、初恋の初々しさが分かりやすく強調されている。

ちなみに、リンゴはヨーロッパでも愛や若さの象徴として用いられており、『恋人にリンゴを』という古いイングランド民謡も知られている。

歌詞

まだあげ初(そ)めし前髪の
林檎(りんご)のもとに見えしとき
前にさしたる花櫛(はなぐし)の
花ある君と思ひけり

やさしく白き手をのべて
林檎をわれにあたへしは
薄紅(うすくれない)の秋の実に
人こひ初めしはじめなり

わがこゝろなきためいきの
その髪の毛にかゝるとき
たのしき恋の盃を
君が情(なさけ)に酌(く)みしかな

林檎畑の樹(こ)の下に
おのづからなる細道は
誰(た)が踏みそめしかたみぞと
問ひたまふこそこひしけれ

意味・現代語訳

まだあげたばかりの君の前髪が
リンゴの木の下に見えた時
前髪にさした花櫛の
花のように美しい女性だと思った

優しく白い手をのばして
リンゴを僕にくれたこと
それは薄紅の秋の実
僕は初めて恋を覚えた

思わずもらしたため息が
君の髪の毛にかかったとき
恋に酔いしれる楽しさを
君のおかげで知ることができた

リンゴ畑の樹の下に
自然とできた細道は
誰が通って出来たかと
尋ねる君が愛おしい

歌謡曲・歌曲としての『初恋』

島崎藤村『初恋』を日本音楽著作権協会(JASRAC)データベースで検索してみると、20件以上の著作権登録がなされており、様々な作曲家が同じ歌詞に異なるメロディをつけていることが分かる。

NHK Eテレ「にほんごであそぼより」がクレジットされた「藤原 道山」版や、 小椋 佳作曲で梅沢 富美男が歌うバージョン、若松 甲作曲で舟木一夫が歌うバージョンなど様々な『初恋』が確認できたが、『椰子の実』のように、いずれもまだ定番といえる楽曲はないように感じられる。

【試聴】舟木一夫 島崎藤村『初恋』

【試聴】「初恋」(島崎藤村) テノール 加藤雅彦

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