浜千鳥 はまちどり

青い月夜の浜辺には 親を探して鳴く鳥が 銀のつばさの浜千鳥

『浜千鳥 はまちどり』は、作詞:鹿島 鳴秋、作曲:弘田 龍太郎による日本の童謡。雑誌『少女号』で1920年(大正9年)1月号に発表された。

鹿島 鳴秋(かしま・めいしゅう/1891-1954)は、童話作家・雑誌編集者・詩人。子ども向け雑誌の草分け「少女号」編集・発行人。

歌詞は、鹿島 鳴秋が友人の桑山太一を新潟県柏崎に訪ね、2人で浦浜から番神海岸を散歩しているときに、鳴秋が手帳に書き記したものだという。

写真:『浜千鳥』歌詞が生まれたとされる番神海岸(新潟県柏崎市)

【試聴】浜千鳥 二代目コロムビアローズ

歌詞:『浜千鳥』

青い月夜の浜辺には
親を探して鳴く鳥が
波の国から生まれ出る
濡れた翼の銀の色

夜鳴く鳥の悲しさは
親をたずねて海こえて
月夜の国へ消えてゆく
銀のつばさの浜千鳥

千鳥の意味は?

童謡『浜千鳥』の「千鳥(ちどり)」とは、浜辺にいるチドリ科の鳥を意味する。ハマチドリという名前の鳥はいない。

写真:ハジロコチドリ(出典:Wikipedia)

「千」という漢字が当てられているのは、多数でよく群がることから「千の鳥」の意味合いがあるという。群がっている千鳥は和歌で「友千鳥」と呼ばれる。

千鳥は冬の季語として知られ、万葉集では20首以上の歌で千鳥が詠み込まれている。その多くが夜に千鳥の鳴き声を聞く内容となっている。

さ夜中に 友呼ぶ千鳥 物思ふと(ものもうと)
わびをる時に 鳴きつつもとな

<万葉集:4-618>

意味:夜ふけに友を呼ぶ千鳥が、物思いの寂しい時に鳴きつづけて心に染みる。

歌詞の意味は?

童謡『浜千鳥』の歌詞では、「友」を呼ぶ千鳥ではなく、「親」を探す千鳥が歌われている。

「親をたずねて海こえて」とあるので、親と完全にはぐれて生き別れになってしまった状況のように思われる。

実際の自然界ではあまり考えにくいシチュエーションだが、これは作詞者である鹿島 鳴秋の実体験が反映されているという。

鹿島 鳴秋は6歳の時に父が家出をし、母は再婚して他家に嫁いだため、幼くして両親と生き別れになってしまった。

『浜千鳥』を作詞した当時は仕事も充実しており精神的にも余裕のあった頃だが、やはり幼い頃に親から見捨てられてしまった深い悲しみは、大人になっても癒えることはなかったようだ。

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