夕やけ雲

燃え上がる野も山も 明日も天気になあれ

「竹やぶの上は 夕焼け雲だ」が歌いだしの『夕やけ雲』は、小学校の音楽教科書に掲載された児童向けの歌。作詞:野上彰、作曲:ゲバルト。

小学生向けの歌にしては若干重苦しいメロディに乗せて、「燃え上がる野も山も 明日も天気になあれ」と歌は続く。

実際に音楽の授業で歌った経験がある方なら、大人になった今でも強く記憶に残っていることだろう。

原曲は19世紀フランスの讃美歌・キャロル

夕焼けの歌といえば、『夕焼け小焼け』、『赤とんぼ』など日本の抒情あふれる唱歌・童謡があるが、この『夕やけ雲』のような重苦しさはかなり異色の存在といえる。

その理由は原曲にある。『夕やけ雲』のメロディは、19世紀フランスの古い讃美歌・キャロル『幼子イエスの眠り Le Sommeil de l’Enfant Jesus』がほぼそのまま用いられているのだ。

もちろん讃美歌にも明るい雰囲気の曲は数多く存在するが、キリストへの畏敬の念を表現する厳粛な楽曲も多く、『夕やけ雲』の原曲は言うまでもなくその後者にあたる。

歌詞の内容については、『夕やけ雲』と『幼子イエスの眠り』にまったく共通点はない。後者はキリスト降誕を歌った讃美歌・キャロルで、クリスマスシーズンに歌われる楽曲だ。

フランスの古い厳粛な讃美歌のメロディが持つ独特の雰囲気で、日本の小学生が歌うにしてはちょっと怖い印象の『夕やけ雲』。異色の「夕焼けソング」として、これからも根強く歌い継がれていくことだろう。

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「竹やぶの上は 夕焼け雲だ」が歌いだしの『夕やけ雲』原曲