月の光に Au Clair de la Lune

フランス民謡/月の光が照らす夜、ペンを探す男女が見つけたものとは?

『Au Clair de la Lune 月の光に』は、18世紀から伝わる古いフランス民謡・童謡。『月夜』の表記もみられる。

作曲者は不明だが、フランス国王ルイ16世に仕えた作曲家J.B.リュリ(Jean Baptiste Lully/1632-1687)作曲とする説もあるようだ。

非常にシンプルなメロディで小さな子供にも歌いやすく、西洋ではコンサート用の鉄琴グロッケンシュピール(glockenspiel)の練習曲として定番となっているという。ちなみにマーチングバンドで用いられるベルリラもグロッケンシュピールの一種。

夜の家で男と女が出会ったら…

フランス民謡『月の光に』歌詞冒頭では、夜に手紙を書こうとした男性が、ペン(原詩では「光」)がなくなって友達に借りに行く様子が描かれている。

あいにく友達の助けが得られなかったため、急きょ隣の女性の家へ借り物へ行くことになった男性。何とか家に入れてもらい、あちこち探している内に、どうやら二人は違ったものを見出してしまったようで…

歌詞を最後まで歌うと、特に最後の節が意味深で、否が応にも色々と妄想が広がる内容だ。童謡として子供に歌わせるには若干の違和感を感じるが、実際にフランスで子供が童謡として歌う場合は2番までで止めるとのこと。

サン=サーンス『動物の謝肉祭』にも登場

19世紀フランスの音楽家サン=サーンス(Charles-Camille Saint-Saëns/1835–1921)は、1886年に初演を行った組曲『動物の謝肉祭 Le carnaval des animaux』第12曲「化石 Fossiles」において、『Au Clair de la Lune』の冒頭のメロディを引用している。

ちなみに、『動物の謝肉祭』第12曲「化石」では、他にも『J'ai du bon tabac いいタバコを持ってるよ』、『Ah vous dirais-je maman きらきら星』、『En partant pour la Syrie シリアへの旅』などの古いフランス民謡が多数用いられている。

人類最古の録音?フォノトグラフに記録された『月の光に』

トーマス・エジソンが蓄音器を発明(1877年)する以前、フォノトグラフ(phonautograph)という音声記録装置が存在した。地震計のように音を波形で記録する装置で、研究目的だったため再生はできなかった。

2008年3月、フランス科学アカデミーによれば、フォノトグラフで記録された波形図を現代のコンピュータで解析したところ、女性の声で歌われたフランス民謡『Au Clair de la Lune 月の光に』が録音されていたことが判明した。

記録された日時は1860年4月9日で、エジソンによる蓄音機の発明よりも17年早い。フランス科学アカデミーは、この『Au Clair de la Lune』を「人類最古の録音」としてWebサイト上で高らかに発表を行った。

ちなみに、エジソンが蓄音機で最初に録音したのは、自身が歌って吹き込んだアメリカ民謡『メリーさんの羊』(世界最初のレコード歌手はエジソン?)。

【試聴】月の光に Au Clair de la Lune

歌詞(フランス語)・日本語訳(意訳)

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1.
Au clair de la lune
Mon ami Pierrot
Prête-moi ta plume
Pour écrire un mot.

月の光のもと
友達のピエロよ
ペンを貸してくれないか
手紙を書きたいんだ

注:「plume(ペン)」は古い歌詞では「lume(光・灯かり)」となっている。以降の歌詞で話の筋が通らないのはこのため。

Ma chandelle est morte
Je n'ai plus de feu
Ouvre-moi ta porte
Pour l'amour de Dieu.

ろうそくが消えてしまって
もう火がないんだ
お願いだから
扉を開けておくれよ

2.
Au clair de la lune
Pierrot répondit :
"Je n'ai pas de plume
Je suis dans mon lit.

月の光のもと
ピエロは答えた
「ペンは持ってないよ。
それにもう僕はベッドの中なんだ。」

Vas chez la voisine
Je crois qu'elle y est
Car dans sa cuisine
On bat le briquet".

「隣の家へ行ってみなよ。
彼女ならいると思うよ。
だって台所で
火打石を打つ音がするから。」

3.
Au clair de la lune
L'aimable Lubin
Frappe chez la brune
Elle répond soudain :

月の光のもと
優しいリュバンは
隣の家の扉を叩くと
茶髪の彼女が答えた

"Qui frappe de la sorte ?"
Il dit à son tour :
"Ouvrez votre porte
Pour le dieu d'Amour".

「ノックしてるのは誰なの?」
彼は答えた。
「お願いだから開けてくれないか。
愛の神様に免じて。」

4.
Au clair de la lune
On n'y voit qu'un peu
On chercha la plume
On chercha du feu.

月の光のもと
はっきりとは見えなかったけれど
彼らはペンを探したり
灯かりを探していた

En cherchant de la sorte
Je ne sais ce qu'on trouva
Mais je sais que la porte
Sur eux se ferma.

そうやって探し続けて
彼らが何を見つけたのかは知らないよ
でも分かってるんだ
二人の後ろで扉が閉まったことをね

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