スカボローフェア 歌詞の意味・和訳

イギリス北東部スカーバラ そこは昔の恋人が住む町

『スカボローフェア(Scarborough Fair)』は、イングランドの伝統的な民謡。歌詞のルーツ・元ネタは、スコットランドの古いバラッド『エルフィン・ナイト Elfin Knight』。

1960年代に活躍したアメリカのフォークロックデュオ、サイモン&ガーファンクル(Simon & Garfunkel)によるカバーが世界的に有名。

ポール・サイモンは、イギリスのマーティン・カーシーから『スカボローフェア』の権利を購入し、独自の歌詞を重ね合わせて独自の世界観を作り上げた。

写真:スカーブラ(スカーバラ)の街並み(出典:Wikipedia)

「スカボロー(Scarborough)」とは、イギリス北東部ヨークシャー州にある海沿いの観光地スカーバラ(スカーブラ)のこと。「フェア(Fair)」とは、スカーバラで定期的に開かれる市・マーケットを指す。

スカーバラは、イギリス中世のジョージア朝やヴィクトリア朝様式をもつ美しい建物が立ち並び、歴史ある文化的な街として毎年多くの観光客を集めている。

このページでは、イギリスのマーティン・カーシーから受け継がれた標準的な『スカボローフェア』の歌詞について和訳を行い、意味について簡単に解説した後で、ポール・サイモンが独自に追加した「詠唱」部分の歌詞について解説を行う。

【YouTube】 Martin Carthy - Scarborough Fair

歌詞の意味・日本語訳(意訳)

Are you going to Scarborough Fair?
Parsley, sage, rosemary and thyme
Remember me to one who lives there
For once she was a true love of mine.

スカボローの市へ行くのですか?
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
そこに住むある人によろしく言ってください
彼女はかつての私の恋人だったから

Have her make me a cambric shirt
Parsley, sage, rosemary and thyme
Without a seam or fine needle work
And then she'll be a true love of mine.

カンブリックのシャツを
彼女に作ってもらってください
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
縫い目も残さず針も使わずに
そうしたら彼女は私の恋人

Have her wash it in yonder dry well
Parsley, sage, rosemary and thyme
Where ne'er a drop of water e'er fell
And then she'll be a true love of mine.

あの涸れた井戸で
それを洗ってもらってください
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
そこは一滴の水もなく雨も降らない
そうしたら彼女は私の恋人

Have her find me an acre of land
Parsley, sage, rosemary and thyme
Between the sea and over the sand
And then she'll be a true love of mine.

1エーカーの土地を
彼女に見つけてもらってください
パセリ、セージ、ローズマリー、タイム
海と岸辺の間にある土地を
そうしたら彼女は私の恋人

補足

カンブリック(cambric)とは、薄手で軽量の綿・亜麻織物のこと。レースや刺繍に用いられ、ハンカチ生地としても使われる。

1エーカーは、土地の面積の単位で、現代のイギリスでは約4046平方メートル。

実現不可能な謎かけの意味は?

『スカボローフェア』2番以降の歌詞では、「縫い目も残さず針も使わずに」シャツを縫う、「涸れた井戸で」それを洗うなど、実現不可能な謎かけが織り込まれている。

元恋人の彼女に実現不可能な謎かけをして、それを実行できたら彼女は私の恋人になるという。これは一体どういう意味があるのだろうか?

実は、歌詞の元ネタであるスコットランドの古いバラッド『エルフィン・ナイト Elfin Knight』を見ると、実現不可能な謎かけは別の意味合いで用いられていことがすぐに分かる。

元ネタの意味合いは『エルフィン・ナイト Elfin Knight』のページでご確認いただくとして、『スカボローフェア』における実現不可能な謎かけは、どのような意味合いがあるのだろうか?

この点については様々な解釈がありそうだが、一つの見方としては、元恋人の彼女とはもう昔のような恋人関係には戻れないんだ、または戻る気はないんだ、という男性の意思が表現された歌として解釈できるように思われる。

サイモン&ガーファンクル「詠唱」

サイモン&ガーファンクル(Simon and Garfunkel)は、1960年代に活躍したフォークロックデュオ。どちらも1941年生まれで、その多感な20代をベトナム戦争(1960-75)の真っ只中で過ごした。

そのため、彼らの作品には「反戦」をテーマとした歌詞・アレンジが散見される。「スカボローフェア」においても、伝統的な歌詞の間に、反戦のメッセージが輪唱のように付け加えられており、独自の世界観を醸し出している。

サイモン&ガーファンクルによる「スカボローフェア」のアレンジ・ヴァージョンは、1967年のダスティン・ホフマン主演の映画「卒業」の挿入歌として用いられ、世界的に有名になった。

【YouTube】 サイモン&ガーファンクル - Scarborough Fair

サイモン&ガーファンクル版では、2番から4番の歌詞について、次のような独自の詠唱が重ねて歌われる。彼らが独自に追加した詠唱部分の歌詞と意味は次のとおり。

2番の詠唱

On the side of a hill,
in the deep forest green
Tracing of sparrow
on snow-crested ground

Blankets and bedclothes
the child of the mountain
Sleeps unaware of
the clarion call

丘のそば 緑深い森の中
雪におおわれた大地で
スズメの足跡を追いかける

毛布に寝具
山の子は気づかずに眠る
響き渡る叫び声に

3番の詠唱

On the side of a hill,
a sprinkling of leaves

Washes the grave
with silvery tears

A soldier cleans
and polishes a gun

丘のそば 舞い散る落葉
墓を濡らす銀色の涙
兵士は銃を掃除し磨き上げる

4番の歌詞

War bellows blazing
in scarlet battalions
Generals order
their soldiers to kill
And to fight for a cause
they've long ago forgotten

戦いの怒号が
深紅の大軍に燃え立ち
将軍は殺せと兵士に命じる
そして戦えと
忘れ去られた大義のために

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サイモン&ガーファンクル

明日に架ける橋 Bridge over Troubled Water
黒人霊歌・ゴスペルから影響を受けたサイモン&ガーファンクル最大のヒット曲
サウンド・オブ・サイレンス
時代背景は1960年代のアメリカにおけるカウンターカルチャー
コンドルは飛んでいく
アンデス地方のフォルクローレ サイモン&ガーファンクルもカバー