ファー!ゴルフの掛け声 意味・語源・由来

打ったゴルフボールで怪我をさせないための大事な掛け声

ゴルフコースのティーショットで、打ったボールが大きくスライスしてフェアウェイから外れ、他競技者やギャラリーの方へ飛んでいってしまうことがある。

その際、注意喚起の意味合いでプレイヤーやキャディが「ファー!(フォアー!)」と大きく叫んで周囲に知らせる決まり事があるが、この「ファー!」とは言語的にどのような意味があるのだろうか?その語源・由来について、簡単にまとめてみた。

ゴルフのティーショット

なお、ゴルフ用語の語源に関連するページとしては、こちらの「ゴルフのボギー 意味・語源・由来」もおすすめ。

英語で「fore」フォアー

ゴルフコースでの掛け声「ファー」は、英語で「fore」(フォアー)。ゴルフボールが遠くへ飛ぶから、遠くを意味する「far」かなと直感的に考えたくなるが、その語源は別の所に由来している。

「fore」の意味・語源・由来については、主に二つの説が有力。ひとつずつ見ていこう。

1.軍事用語説

一つ目は、「fore」は軍事用語の「beware before」(ビウェア・ビフォアー)が語源であるという説。

後方の砲撃主が前方の歩兵の頭上を超えて砲撃を行う際、着弾で飛散する破片などで前方の歩兵が負傷しないように、歩兵らに伏せて身を守るよう注意喚起するための掛け声として使われていた。

アメリカ南北戦争で用いられた野戦砲

この「beware before」の最後の一部が残る形で「fore」(フォアー)となり、ゴルフコースでも注意喚起の意味合いで使われるようになったと考えられている。

写真:アメリカ南北戦争で用いられた野戦砲(出典:Wikipedia)

2.フォアキャディ説

ゴルフコースの中には、大きく曲がった難しいコースなど視界が限定される場合のために、コース前方に先回りしてボールの落下位置を確認する「フォアキャディ fore-caddie」が付く場合がある。

この場合、ティーショットでボールが飛んでいくことを前方にいるフォアキャディに知らせるため、「フォアキャディ!」と呼びかけるところを略して「フォア」と言うようになったと考えるのが有力説の一つなようだ。

口笛でフォア→行進曲に

かつてゴルフで「フォアー!」と声で叫ぶ代わりに「口笛を吹いて」危険を知らせていた人物がいたようで、その口笛の音階が、イギリスの行進曲『ボギー大佐マーチ(クワイ河マーチ)』のメロディに取り入れられているとの解説をネットで見かけることがある。

この解説を裏付けるような客観的な資料を筆者は見たことがないが、これがもし本当なら非常に興味深い話だ。

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