おんまはみんな 原曲の歌詞と意味

おうまはみんなパッパカ走る こぶたのしっぽはチョンポリチョロリ?

『おんまはみんな』は、19世紀アメリカ民謡『Old Gray Mare』(オールド・グレイ・メア/老いた灰色の牝馬)を原曲とする日本の子供向けの歌。

中山知子の作詞による日本語の歌詞は、原曲の英語の歌詞とはほぼ無関係な内容。NHK「おかあさんといっしょ」などの子供向け番組で歌われた。

曲名は『おうまはみんな』ではなく『おんまはみんな』。「おうま」から「おんま」への語形変化は、子供向けの歌ということで「幼児語(赤ちゃん語)」を意識して用いたと思われる。

「ん」の音に変化する幼児語としては、「ねんね(寝る)」「あんよ(足)」「おんも(お外)」などが知られている。

幼児語が童謡に取り入れられた例としては『春よ来い』が特に有名。

 

【試聴】おうまはみんな Old Gray Mare

原曲の歌詞の意味

それではまず、『おんまはみんな』の原曲である19世紀アメリカ民謡『Old Gray Mare』(オールド・グレイ・メア/老いた灰色の牝馬)の歌詞の意味を見てみよう。

1.
The old gray mare
She ain't what she used to be
Ain't what she used to be
Ain't what she used to be

The old gray mare
She ain't what she used to be
Many long years ago

年老いた灰色のメス馬
昔の面影はない

年老いた灰色のメス馬
昔の面影はない
昔むかしのお話さ

Many long years ago
Many long years ago

The old gray mare
She ain't what she used to be
Many long years ago

昔むかしのお話さ
年老いた灰色のメス馬
昔の面影はない
昔むかしのお話さ

2.
The old gray mare
She kicked on the whiffletree
Kicked on the whiffletree
kicked on the whiffletree

The old gray mare
She kicked on the whiffletree
Many long years ago

年老いた灰色のメス馬
引き具の横棒を蹴り上げた

年老いた灰色のメス馬
引き具の横棒を蹴り上げた
昔むかしのお話さ

Many long years ago
many long years ago

The old gray mare
she kicked on the whiffletree
Many long years ago

昔むかしのお話さ
年老いた灰色のメス馬
引き具の横棒を蹴り上げた
昔むかしのお話さ

「whiffletree」とは?

『Old Gray Mare』の2番の歌詞にある「whiffletree」(ウィフル・ツリー)とは、馬が引く2本の引き具を結び付ける横棒。引く力の左右のバランスを保つために付けられる。

下の写真でいうと赤い丸で囲まれた部分の横棒。この写真では、横に並んだ2頭の馬の二つの横棒がさらに一つの横棒で連結されている。

ウィフル・ツリー whiffletree

写真:ウィフル・ツリー whiffletree(出典:Wikipedia/赤丸は筆者追加)

日本語歌詞と原曲との比較

次に、中山知子の作詞による『おんまはみんな』の歌詞の内容と、原曲の『Old Gray Mare』を比較してみよう。まず1番の歌詞を次のとおり引用する。

おんまは みんな
ぱっぱか はしる
ぱっぱか はしる
ぱっぱか はしる

おんまは みんな
ぱっぱか はしる
どうして はしる

どうしてなのか
だれも しらない だけど

おんまは みんな
ぱっぱか はしる
ぱっぱか はしる
ぱっぱか はしる

おんまは みんな
ぱっぱか はしる
おもしろいね

<引用:中山知子『おんまはみんな』1番の歌詞より>

馬というテーマが共通するものの、歌詞の内容は原曲とはほとんど関連性が無いことが分かる。

一般的に、馬が走る足音を「ぱかぱっ ぱかぱっ」と表現することがあるが、この『おんまはみんな』では、原曲のメロディに合わせるために「ぱっぱか」と表現されているのが興味深い。

そして突然「どうしてはしる」とやや哲学的な疑問を投げかけた割には、「だれもしらない」と大まかな感じの答えで受け流し、最後にはあっけらかんと「おもしろいね」で締めくくられるユニークさ。

NHK「みんなのうた」で1961年4月に『誰も知らない』という谷川俊太郎作詞の歌が放送されているが、ひょっとしたらここから影響を受けているのかもしれない。

2番は「こぶたのしっぽ」

そして後半の2番の歌詞を見てみよう。次のとおり『おんまはみんな』から引用する。

こぶたのしっぽ

こぶたの しっぽ
ちょんぼり ちょろり
ちょんぼり ちょろり
ちょんぼり ちょろり

こぶたの しっぽ
ちょんぼり ちょろり
どうして ちょろり

どうしてなのか
だれも しらない だけど

こぶたの しっぽ
ちょんぼり ちょろり
ちょんぼり ちょろり
ちょんぼり ちょろり

こぶたの しっぽ
ちょんぼり ちょろり
おもしろいね

<引用:中山知子『おんまはみんな』2番の歌詞より>

ここに至っては、もはや馬は登場せず、子ブタのしっぽについてひたすら歌っていく内容となっている。

「ちょんぼり ちょろり」という子供受けしそうなフレーズがとてもユニーク。「ちょんぼり」はさすがに作詞者の造語だろうと思ったが、念のために調べてみたところ、小学館デジタル大辞泉では、「ちょんぼり」について次のように解説されていた。

ちょんぼり [副]

こぢんまりとしているさま。また、わずかであるさま。

「それが遠い、遠い向うに―見えていて」〈鴎外・心中〉

<引用:小学館デジタル大辞泉より「ちょんぼり」>

辞書を調べるまでは、なんとなく「しょんぼり」しているイメージがあったが、この辞書の解説からは、語源的には「ちょこっと+ぼんやり」に近いのかなといった印象を受けた。

他の辞書では、日本の伝統的な子供人形(童人形)で、坊主頭にちょこんと乗った摘み髪も「ちょんぼり」というようだ。子ブタのしっぽを表現するなら、童人形の「ちょんぼり」がイメージに近いかもしれない。

作曲者は誰?

原曲『Old Gray Mare』の歌詞については、テキサス州陸軍部隊を連ねる旅団の軍楽隊長だったジェイムズ・ベイリー(James Bailey)が1862年にオリジナルの歌詞を作詞したとされる。

作曲者については明らかになっておらず、一説には19世紀アメリカの作曲家スティーブン・フォスターの名前も挙がっているようだ。

筆者の私見では、19世紀アメリカ南北戦争時代の黒人霊歌『ダウン・バイ・ザ・リバーサイド』(Down by the Riverside)のメロディが近いように感じられるが、関係性は不明だ。

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