ゴルフのボギー 意味・語源・由来

なぜゴルフでパーより1打多いと「ボギー」なの?

ゴルフのルールにおいて、パーより1打多い「ボギー Bogey」という用語がある。イギリスの行進曲『ボギー大佐マーチ(クワイ河マーチ)』でも曲名として使われているこの「ボギー」だが、この単語がなぜゴルフ用語として使われているのだろうか?

ボギーの元々の意味や語源・由来、これに関連するゴルフの歴史などについて、調べた結果を簡単にまとめてみた。

ゴルフのティーショット

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ボギーはお化け

「ボギー Bogey」という単語を英英辞書で調べてみると、ゴルフ用語としての用法の他に、「お化け、妖精、妖怪、悪霊」といった意味があることが分かる。

英米圏では、子供が言うことを聞かない時に「悪い子はブギーマンにさらわれる」と脅かすことがあるが、この「ブギーマン(Bogeyman)」の「ブギー」も「ボギー Bogey」と同じ語源である。

ねないこだれだ

写真は絵本「ねないこだれだ」の表紙。子供をしつけるためにお化けを引き合いに出すという点で、日本版ブギーマンと言える。

ちなみに、アメリカ空軍・海軍が用いる軍事用語として、正体不明機・不明船を「unknown(アンノウン)」と呼ぶが、これを「ボギー Bogey」と呼ぶ場合がある。この軍事用語としてのボギーも「お化け」としての意味合いに由来するものと考えられる。

ゴルフでお化けと対戦?

ボギーがお化けを意味するとして、それがどうしてゴルフと関連するのだろうか?

ボギーとゴルフの関係を紐解くには、ゴルフの歴史を簡単に振り返る必要がある。

ゴルフはかつて1対1で行われるマッチプレーだった。それが現在のような個人プレーに移行する際、コースごとに基準となる標準ストローク(打数)を決める必要が出てきた。

その標準を決めることは、今までマッチプレーだったゴルフの試合から見れば、まるで実在しない架空の競争相手と勝負するかのような設定。

その「架空の競争相手」とは、目に見えず姿かたちも分からない、まるで幽霊のような存在。この架空の人物に名付けられた名前が「ボギー大佐 Colonel Bogey」だった。

この説を裏付ける客観的資料として、英語版ウィキペディア「Colonel Bogey March」のページでは、次の3つの文献を参考資料として掲載している。年代的には、早くて19世紀後半頃の実際の出来事のようだ。

<参考資料>

The Royal Cornwall Gazette of 10 March 1892 reports the results of the Royal Cornwall Golf Club Ladies versus "Colonel" Bogey

Many references to the Colonel in the press include a letter from a "golf widow" to The Times of 3 June 1914.

Toronto; Globe 25 October 1904 p. 10.

ボギーは最初パーだった

架空の競争相手「ボギー大佐 Colonel Bogey」のストロークが標準ならば、それはボギーではなく現在の「パー」なのでは?

鋭い方であれば、このような疑問を抱くことと思われる。実際、イギリス(スコットランド)においては当初ボギーは現在のパーの位置付けで用いられていた。

パーという用語は当時のイギリスでも使われていたのだが、各地のクラブによって用法がバラバラだった。

後にアメリカが統一ルールとして「パー」を基準スコアとして規定したことから、もともとあった「ボギー」が一つずれて、現在の意味合いで定着していった。

ちなみに「パー」は元々イギリスの金融用語で、上下する株価の基準値を示す用語として使われていたようだ。

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