
「スカボローフェア」の源流を探る上では、フランシス・ジェームズ・チャイルド(Francis
James Child/1825~1896)が1882年から1898年の間に全5巻に渡って記した「The English and Scottich Popular Ballads」という編纂物を避けて通ることはできません(右写真は復刻版第1巻。アマゾンで入手可能。2004年2月現在、全5巻中第2巻まで復刻が完了している。)。
この書籍は全5巻にわたって300曲以上のイングランド・スコットランドの伝統民謡の歌詞を纏め上げており、今日に至ってもなおイギリス民謡を研究していく上で歴史的史料価値の非常に高い重要書籍です。
フランシス・ジェームズ・チャイルドは1825年にマサチューセッツ州のボストンに生まれました。貧しい家庭であったようですが、ボストンラテン学校の校長にその才能を見出され、数々の援助を受けてハーバード大学に進学しました。1851年からは同大学の修辞学におけるthe Boylston Professor に就任し、以後25年間その地位にとどまり続けました。
この「The English and Scottich Popular Ballads」は、「Child’s Ballads」とも呼ばれ、その中の作品のタイトルをあらわす方法として、当該書籍中のシリアルナンバーが用いられます。以下のリストは第1巻の収録タイトル53曲の一覧ですが、「Child #2」といったら「The Elfin Knight」を指します。
「The English and Scottich Popular Ballads Volume I 」
Volume I: 1-53
#1: Riddles Wisely Expounded
#2: The Elfin Knight
#3: The Fause Knight on the Road
#4: Lady Isabel and the Elf Knight
#5: Gil Brenton
#6: Willie's Lady
#7: Earl Brand
#8: Erlinton
#9: The Fair Flower of Northumberland
#10: The Twa Sisters
#11: The Cruel Brother
#12: Lord Randal
#13: Edward
#14: Babylon or The Bonnie Banks o Fordie
#15: Leesome Brand
#16: Sheath and Knife
<以下割愛>
「スカボローフェア」の原曲とされている曲は、上述の「The English and Scottich Popular Ballads」の第1巻のどこかに収録されているのですが、それがどの曲かについては、次のページ以降で解説したいと思います。
なお、晩年のフランシス・ジェームズ・チャイルドは、痛風やリウマチを患っており、さらに1893年の移動中の事故がきっかけで体は衰弱していき、「The English and Scottich Popular Ballads」の5巻目をほぼ纏め上げたところで、1896年の9月に享年71歳で亡くなっています。