ダニーボーイの謎 Danny Boy
ドナドナ研究室
戦争に赴く息子を思う親の気持ちを切なく歌い上げるアイルランドの名曲「ダニーボーイ」。その切ないメロディーは、アイルランド国民のみならず世界中の人々の心を魅了して止みません。
ミュージカル映画「ホワイトクリスマス」や数々のクリスマスソングでも有名なアメリカの歌手・俳優ビング・クロスビー(Bing Crosby/1903-1977)を始め、数々の有名アーティスト達も好んでダニーボーイを自分のレパートリーの一つとしているようです。
写真:アイルランドの首都ダブリン近郊
本当は父親の歌?母親の歌?
ソングブック「ダニーボーイ」のページでもコメントしてますが、この曲が父親の心境を歌ったものなのか、それとも母親の心境が表現されているのか、歌詞を見ただけでは「絶対に母親だ」と断言することはできません。
ただ、日本人の伝統的な父親像・母親像に当てはめてイメージすると、なんとなく「母親」の歌としておいた方が、逆の場合よりも断然感情移入しやすくなるように感じます。
ちなみに、海外のサイトでは「父親」の歌だとのコメントが数多く見られ、むしろ多数派を占めているように見えます。
なお、「戦いのために息子が出て行く」という点は、歌詞の最初の方でバグパイプhの音が谷に鳴り渡るという描写があり、昔アイルランドやスコットランドでは戦いの召集ラッパとしてバグバイプを用いていたという言い伝えがあることから考えれば、この点に異論はないと考えます。
<関連ページ>
【関連ページ】 ソングブック「ダニーボーイ」歌詞と解説 日本語訳・試聴など
【関連ページ】 ソングブック「ロンドンデリーの歌」歌詞と解説 試聴など
「ダニーボーイ」そして「ロンドンデリーの歌」のルーツに迫る!
この心を打つ名曲「ダニーボーイ」は、アイルランドに古くから伝わる民謡「ロンドンデリーの歌」に、あるイギリスの法律家が作詞した歌詞を当てはめたもののようです。
ドナドナ研究室No.010では、この「ダニーボーイ」、そして「ロンドンデリーの歌」について、少し深く掘り下げてみたいと思います。
いかにして「ロンドンデリーの歌」が彼の耳に届くことになったのか?本当に元のメロディーが「ロンドンデリーの歌」だと言えるのか?等、諸説飛び交う謎の多い曲ですが、一般的で有力と思われる説に基づいてそのルーツをおおまかにご紹介したいと思います。それではドナドナ研究室No.010「ダニーボーイ」、スタートです。
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ダニーボーイの謎 目次
- 父親の歌?母親の歌?
- 法律のできるソングライター
- アイルランドからアメリカへ①
- アイルランドからアメリカへ②
- ロンドンデリーの歌
- 盲目のフィドル弾き伝説
- 彼女の創作疑惑
- 見当たらない彼女のメロディ
- 青年の夢
- 100曲以上の歌詞