
まずメロディーについては、前のページでも取り上げたように1855年の「ONE FISH-BALL(魚肉ボール1個)」のメロディー がルーツの第一候補として挙げられると考えられます。この曲は当時のアメリカでポピュラーなものだったようで、これが後世まで伝わり、何らかの形で「キュートな男の子」や「小さなイモムシ」の歌詞との融合を果たしたと推測されます。
歌詞については、その誕生の経緯や替え歌の推移について決定的な資料がないため推測の域を出ませんが、おそらくボーイスカウトやガールスカウト等の野外活動に携わる隊員の誰かが、アドリブや即興で、森の中でクマに遭遇するストーリーとして軽いノリで歌い始めたものが広まっていったのではないかと想像しています。そのアドリブや即興の時に替え歌のベースとして、当時流行していた「キュートな男の子(女の子)」が用いられたのではないでしょうか?
1919年の「サイダーをストローで飲みながら」の楽譜に記載されていたメロディーは今日の「森のくまさん」のメロディーとは全く異なるものでしたが、この楽譜の作者が勝手に一から作り変えたのか、元からこのメロディーで歌われていたのか、サイダーとストローのストーリーがこれ以前に存在していたか否か等については、明確な資料を確認することはできませんでした。
私の想像では、サイダーとストローのストーリーは1919年以前に存在していて、これに目をつけた1919年の楽譜の作者が独自のメロディーをつけて一儲けしようと狙ったのではないかと考えています。
また、魚肉ボールの歌のメロディーとサイダーの歌の歌詞がどうしてくっついたのかについても明確な資料がみつかりませんでした。いつ頃くっついたのかについては恐らく1919年の「サイダーをストローで飲みながら」の楽譜発売以前だろうと思われますが、これも推測の域をでません。いずれ何らかの資料が出てきたときは、またこのドナ研に加筆する形でご紹介したいと思います。
1855年のアメリカでのメロディーに端を発し、サイダーとストローのストーリーを通して世の中に広まり、野外活動の中で即興で生まれたクマの歌「I MET A BEAR」。いつしか日本にも伝わり、ある作詞家の手によってクマとお嬢さんの不思議な物語に生まれ変わり、NHKみんなのうたで日本中の国民的ソングとなった「森のくまさん」。
時代を超え、国境を越え、「森のくまさん」のメロディーとストーリーはこれからも多くの人の興味と関心を惹き付けてやまず、文化も世代も超えてますます愛好者の輪を広げていくことでしょう。残された謎はいくつかありますが、それはいつかあの森の中で偶然出会うその時までのお楽しみということで、今回はこの辺で筆を置きたいと思います。
ドナドナ研究室No.013 森のくまさん 完