
森の中、お逃げなさいと親切に、言ってくれたと思ったら、トコトコ後からついてきて、あわてて逃げ出す女の子。
クマさん右手をよく見ると、白くて小さなイヤリング。あらあらクマさんありがとう、お礼に一緒に歌いましょう・・・。
昭和47年(1972年)8月にNHK「みんなのうた」で放送されて以来、日本中の大人から子供まで広く愛される国民的ソングとなったアメリカ民謡「森のくまさん」。
シンプルなメロディーでかつ平易な内容の歌詞ながらも、そのストーリーの流れの不自然さに様々な解釈がなされており、初回放送から30年以上たった今日に至ってもなお、多くの人の関心を惹きつけてやまない不思議な存在感を放っています(右図:絵本作家大西ひろみ先生特別書き下ろし作品「森のくまさん」)。
ドナドナ研究室では、ファイルNo.13としてこの「森のくまさん」を取り上げ、その歌詞の謎や現地アメリカでの替え歌、メロディーのルーツなどに迫ってみたいと思います。
まずは、比較研究のために、日本語版「森のくまさん」の作詞者である馬場祥弘氏による歌詞を以下の通り引用します。
ある日森の中 くまさんに 出会った
花咲く森の道 くまさんに 出会ったくまさんの 言うことにゃ お嬢さん お逃げなさい
スタコラ サッササノサ スタコラ サッササノサ
ところが くまさんが あとから ついてくる
トコトコ トコトコと トコトコ トコトコと
お嬢さん お待ちなさい ちょっと 落とし物
白い貝がらの 小さな イヤリング
あら くまさん ありがとう お礼に うたいましょう
ラララ ララララ ラララ ララララ
日本語版の歌詞のストーリーが不自然なのは、アメリカ版のオリジナルの歌詞に込められたアメリカンジョーク的な要素を、字数制限のある歌詞の中で、日本の文化にうまく溶け込む形で訳出できなかったことが原因の一つかもしれません。
ひとまずアメリカのオリジナルの歌詞は横に置いておくとして、日本ではいい大人達が馬場祥弘氏による歌詞の解釈を巡って興味深く熱い議論を交わしているようです。ドナドナ研究室ファイルNo.013 『森のくまさん』は、まずこの熱い議論の様子を観察することからスタートしたいと思います。