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日本での替え歌~権兵衛さんの赤ちゃん~

 南北戦争における様々な英雄達のストーリーが盛り込まれた「ジョン・ブラウンの身体(亡骸)」のメロディーや歌詞は、アメリカから遠く離れた東の島国日本においても様々な形で広まり多くの人に愛唱されてきました。元歌にこめられた深い戦争の歴史から思い起こされるアメリカの人々の微妙な感情には微塵も考えを及ぼすこともなく、「おたまじゃくしは蛙の子~♪」とか「ごんべさんの赤ちゃんがカゼひいた~♪」などと陽気に楽しく今日においても日々歌いつがれていることは皆さんがご存知のとおりです。

 元の歌詞がそのまま移植されていているバージョンとしては、「ジョン・ブラウンの赤ちゃん」が元歌と思われる「ごんべえさんの赤ちゃん」のケースが代表格でしょう。日本では一時期、アメリカのスカウト・ソングを片っ端から訳して日本で著作権登録して一儲けしてやろうという一大パクリ・ムーブメントが巻き起こっていた時代があったようですが、おそらくその時に一緒にこの「John Brown's Baby」が入ってきたのだと思われます。

ごんべえさんの赤ちゃんが 風邪ひいた
ごんべえさんの赤ちゃんが 風邪ひいた
ごんべえさんの赤ちゃんが 風邪ひいた
とても あわてて 湿布した

 前のページで「カンフル油」になっていたところが「湿布(シップ)」になっているなど、原詩に近づけようとする努力が見られて微笑ましいですが、肝心の英雄「ジョン・ブラウン」が抜け落ちて、日本においていわゆる「名無しのごんべえ」と同等の扱いを受けているところが、なんとも歯がゆい思いがしてなりません。

 「ジョン・ブラウン」関係の日本バージョンとしては、「ごんべえさんの赤ちゃん」以外にも「おたまじゃくしは蛙の子」、「友だち賛歌」、某新宿西口大型家電量販店テーマソングなどが今日の日本で替え歌として広まっているようです。確かに他国の140年以上前の国内戦争の歴史など引っ張り出してきても現代の日本人にはピンとこないし関係ないといえば関係ないともいえるのですが、ここまでキレイサッパリ元歌と切り離されてしまうと、その史実の知識があればある人ほど、ある種のやりきれない思いがするのではないでしょうか?

参考:「友だち賛歌」という詩をつけた阪田寛夫(さかた・ひろお)さん

 「ジョン・ブラウンの赤ちゃん」のメロディーに日本で新たにつけられた歌詞の中でも、阪田寛夫さんのつけた「友だち賛歌」はその歌詞の内容が少年少女向きで爽やかな高感度の高い曲となっているように感じます。この阪田寛夫さんという人はとても有名な人で、「友だち賛歌」以外にも、「さっちゃん」「おなかのへるうた」「ねこふんじゃった」「大きな栗の木の下で」「誰かが口笛ふいた」などが彼が作詞した曲として広く知られています。

 彼は1925年10月18日に大阪市に生まれ、東京大学国史科を卒業した後は詩人・小説家として活動していました。1975年には小説『土の器』で芥川賞を受賞、児童文学では歌曲集『うたえバンバン』、詩集『サッちゃん』でそれぞれ第4回、第6回日本童謡賞を受賞するなど輝かしい経歴の持ち主です。

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