20世紀に入ると、「ジョン・ブラウンの身体(亡骸)」はその形を大きく変えることになります。「リパブリック讃歌」の歌詞の方はそのまま歴史的愛国歌として後世に伝えられていきましたが、「ジョン・ブラウンの身体(亡骸)」の歌詞の方は、ボーイ/ガールスカウトソングまたはキャンプ・ソングとして、主に子供達を対象としたリクリエーション・ソングとしての性格を持った曲へと変化していきました。
南北戦争当時に盛んにもてはやされた「ジョン・ブラウンの身体(亡骸)(John Brown's body)」は、「John
Brown's baby」というタイトルのスカウトソングとして生まれ変わることになりました。
当時の「ジョン・ブラウンの身体」の面影は、唯一残された「John Brown」という人物の名前だけとなっているのですが、当時の彼の英雄的行動に思いを馳せると少し寂しい気がします。さらに歌詞をよく見ると、[body(体・亡骸)]が[baby(赤ちゃん)]という単語に差し替えられているのですが、スペル的にはほんの1・2文字の変化しかなく、なかなかアイディア賞ものの歌詞の変え方だなと感心してしまいました。
John Brown's Baby(ジョン・ブラウンの赤ちゃん)
John Brown's baby has a cold upon its chest
John Brown's baby has a cold upon its chest
John Brown's baby has a cold upon its chest
And they rubbed it with camphorated oil.
スカウトソングの多くはメロディーや歌詞に合わせて手足を動かしたり何らかの動作をしながら歌うことがしばしば見られますが、この「ジョン・ブラウンの赤ちゃん」についてもいくつかの動作や変則的な歌い方がつけられているようです。
例えば、「baby」の部分を歌っているときには赤ちゃんを抱きかかえて揺り動かしてあやしているような動作を、「cold」の部分では手で口元を覆ってセキをしているような動作をするようですし、さらに「chest」のところでは胸を軽く叩いたりさすっているような動きがつけられているようです。
歌詞はこのスタンザしかないのですが、1回目は全部の歌詞を歌い、2回目は「baby」の歌詞を歌わずに動作だけつけて、3回目は「baby」と「cold」の歌詞を歌わずに動作だけ行い、4回目に歌うときは「baby」と「cold」と「chest」の歌詞を歌わずに動作だけで歌をすすめていきます。
歌詞の一番最後の部分を見てみると、「they rubbed it with camphorated oil.」という歌詞があり、そこに「camphorated
oil」という単語があるのに気が付くと思います。この「camphorated oil」は日本語でいう「樟脳(しょうのう)油」を意味しており、これは「楠(クスノキ)」から精製される「カンフル」という化学物質をテレビン油などに溶解させたもので、よく経済用語として「カンフル剤」として用いられているものと同じものを指しています。
一般的には「トクホンエース」や「メンソレータム」などの貼り薬や塗り薬などの外用薬としてよく含まれていて、カゼを引いたときに胸部に塗ると呼吸が楽になる「ヴェポラッ○」にも含まれているようです。「ジョン・ブラウンの赤ちゃん(John Brown's baby)」の歌詞の中でも「camphorated oil」が「ヴェポラップ」と同じような使われ方をしているのが読み取れると思います。
「P&G社 ヴィックス ヴェポラップ」の主要成分
L-メントール、dlカンフル、ユーカリ油、ニクズク油、杉葉油、テレピン油
http://jp.pg.com/products/health/vicks/
日本精化株式会社(旧日本樟脳株式会社)WEBサイト
南北戦争当時に生まれた「ジョン・ブラウンの身体」のメロディーは、20世紀に入って「ジョン・ブラウンの赤ちゃん」へとその姿を変え、そしてアメリカ大陸から太平洋をはさんでアジアの東の果ての島国にたどり着き、さらにその姿は変化していったのです。
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