悪魔のトリル Devil's Trill Sonata

夢の中で悪魔が弾いた世にも素晴らしいヴァイオリンソナタ

『悪魔のトリル Devil's Trill Sonata』は、18世紀イタリアにおけるバロック音楽の作曲家ジュゼッペ・タルティーニ(Giuseppe Tartini/1692-1770)によるヴァイオリンソナタ。

高い演奏技術が要求されるバイオリン(ヴァイオリン)の難曲の一つであり、ヴァイオリニストのレパートリーとして定番の曲となっている。

第1楽章から第3楽章までの3つの楽章からなり、第3楽章の情熱的なアレグロ・アッサイ(allegro assai/非常に早く)では、タイトル通りの「悪魔のトリル(Torillo del diavolo)」が現れ、難易度の高いパートが何度も出現する。

ちなみにトリル(Trill)とは音楽用語の一つで、ある音と2度上の補助音(または下の音)が交互に素早く小刻みに反復して演奏される。国によってトリロ、トリラーなどとも表記される。

夢で悪魔にヴァイオリンを手渡してみると・・・

タルティーニが作曲した「悪魔のトリル」誕生のエピソードについては、フランスの天文学者ジェローム・ラランドが1769年に記したイタリア旅行記「Voyage d'un français en Italie」の中で、タルティーニ自身がその全貌を次のように語っている。

「1713年のある夜、私(タルティーニ)は夢の中で魂と引き換えに悪魔と契約した。望むものはすべて叶い、悪魔も私の望みをすべて分かっていた。

私はふと思いつき、悪魔にヴァイオリンを弾いてみるよう手渡してみたところ、それはそれは素晴らしいソナタの演奏を披露し、私は大変驚愕させられた。その演奏は優れた技術と知性に満ち溢れ、この世の物とも思えぬ美しい演奏は私を魅了し、たちまちのうちに私の心を虜にした。

あまりの美しさに息を詰まらせた私はハッと目が覚めると、急いで飛び起きてヴァイオリンをつかむと、夢で聴いた悪魔のソナタを再現しようと慌ててメロディを奏で始めた。ここで作曲されたソナタは私のいままでのどの作品よりも素晴らしい曲となり、私はこの作品を「悪魔のトリル Devil's Trill」と名付けることとした。」

【試聴】タルティーニ 「悪魔のトリル」