施餓鬼旗と七夕の短冊との関係は?
文字の意味・色の由来

いずれも中国の五行説に由来する五色の配色

仏教における法会の一つ・施餓鬼(せがき)では、五如来(ごにょらい)の御名が記された五色の施餓鬼旗(施餓鬼幡/せがきばた)が用いられる(盂蘭盆会でも)。

施餓鬼旗の五色は、中国の五行説に由来しており、七夕飾りの五色の短冊をほうふつとさせる。この施餓鬼旗に書かれた文字の意味や七夕の短冊との関係など、施餓鬼について簡単にまとめてみた。

写真:お施餓鬼幡(五如来)真言宗諸寺院用(出典:大塔 通販ショップ)

施餓鬼とは?

施餓鬼(せがき)とは、仏教における法会(ほうえ)の一つ。「施餓鬼会(せがきえ)」や「施食会(せじきえ)」などとも呼ばれる。

お盆の時期に行われることが多いが、先祖供養のための盂蘭盆会(うらぼんえ)とは異なり、あまねく全ての諸精霊に対して広く供養が行われる。

施餓鬼旗の色の意味は?

施餓鬼(せがき)では、「緑・黄・赤・白・紫」の五色の旗(色紙)「施餓鬼旗(せがきばた)」が使われる。施食会では施食旗(せじきばた)となる。

施餓鬼旗の五色は中国の五行説に基づいており、仏教では如来の精神や智慧を表している。

配色は二種類あり、一枚に一色のみの施餓鬼旗と、五色すべてが一枚の旗にまとまっている施餓鬼旗がある。

写真:曹洞宗 楽法寺の施食会法要

施餓鬼旗の文字の意味は?

施餓鬼旗には五如来(ごにょらい)の御名が記されており、五如来の御力によって身心は清められ、餓鬼道への恐怖が除かれるといった意味が込められている。

妙色身如来

緑色の施餓鬼旗に記される妙色身(みょうしきしん)如来は、悪行により醜い身体・形相となった餓鬼を救う仏様、「妙」は「美しい」、「色身」は「からだ」を意味する。

過去宝勝如来

黄色の施餓鬼旗に記される過去宝勝如来は、餓鬼道に落ちて苦しんでいる者を救済して円満ならしめる仏様。

甘露王如来

赤色の施餓鬼旗に記される甘露王(かんろおう)如来は西方阿弥陀如来のこと。餓鬼世界の苦しみを取り除き、身心を快楽ならしめてくれる仏様。

広博身如来

白色の施餓鬼旗に記される広博身(こうはくしん)如来は大日如来のこと。食べたくても食べれない餓鬼の飲食の苦しみを救ってくださる密教の仏様。

離怖畏如来

紫色の施餓鬼旗に記される離怖畏(りふい)如来は釈迦如来(お釈迦様)のこと。餓鬼世界の恐怖を取り除いてくれる慈悲の仏様

七夕の短冊との関係は?

五色の施餓鬼旗(施餓鬼幡)は、七夕飾りの「五色の短冊」とどういう関係にあるのだろうか?

結論から言えば、七夕の短冊は施餓鬼旗から大きな影響を受けているものと推測される。

写真は、甲府市にある日蓮宗・清運寺の施餓鬼法要。七夕の短冊と同じく、笹に施餓鬼旗が結び付けられている。これを見ても、七夕と施餓鬼の近い関係性が伺われる。

施餓鬼で供える棚は、水棚・盆棚・精霊棚などとも呼ばれ、棚の上には幡(旗)が吊り下げられる。棚(たな)と幡(はた)で「たなばた」となるが、これを七夕(たなばた)と関連付けて解釈する考え方もあるようだ。

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