菖蒲湯の由来・効能 作り方・入り方

武家社会の縁起担ぎと薬草としての効能・香り

5月5日のこどもの日・端午の節句に入ると良いとされる「菖蒲湯(しょうぶゆ)」について、その意味や由来、効能、作り方・入り方など簡単にまとめてみた。

端午の節句の起源や由来については、こちらのページ「端午の節句 意味と起源・由来」を適宜参照されたい。

菖蒲湯の意味・由来

中国では古来、端午節(日本では端午の節句)に菖蒲(葉菖蒲)を厄除けとして用いていた。それが日本へ伝わり、鎌倉時代以降の武家社会において、菖蒲の読みが「尚武(武を重んじること)」につながることから、菖蒲は端午の節句における縁起物として定着していった。

端午の節句に菖蒲湯に入るのも武家的な縁起かつぎであるとともに、菖蒲自体の薬草としての効能を期待し無病息災を願う意味合いもあった。

菖蒲湯の効能

菖蒲湯に使う葉菖蒲にはアサロンやオイゲノールという精油成分が多く含まれている。血行促進や保湿効果等の薬効により腰痛や神経痛の緩和が期待できるそうだ。

これらの精油成分は葉よりも根の部分に多く含まれているため、主に薬効を期待して菖蒲湯に入る場合は根の部分を入手する必要があるが、そこまでする必要があるかはそれぞれのご家庭でご判断いただきたい。香りを楽しむなら葉の部分で十分だ。

菖蒲湯の作り方・入り方

菖蒲湯の作り方としては、買ってきた葉菖蒲を水洗いしてそのまま丸ごと入れるやり方と、ある程度の長さに刻んでネットなどに入れてから湯につける場合があるようだ。

追い炊き可能なお風呂の場合は、水の時点で菖蒲を入れておくと香りが立ちやすいという。追い炊きできないお風呂の場合は、最初に熱めの温度でお湯をはって菖蒲を入れ、少し時間をおいて適温になってから入ると香りが高まるそうだ。

根の部分を使って薬効を期待する場合は、事前に鍋で根を10分から15分ほど煮出してエキスを抽出し、そのエキスをお風呂に入れるとよいという。漢方薬に近い扱いだが、決して内服はしないようにご注意されたい。

人によっては肌アレルギーも?

人によっては菖蒲湯の刺激で肌にアレルギー反応などのトラブルが生じる場合もあるようなので、初めて菖蒲湯に入る方は、あまりたくさん入れずに様子を見ながら、湯船につかる時間や菖蒲の量を調整していった方がいいかもしれない。

ピリピリした刺激やかゆみなど肌の異変を感じたら、すぐに湯船から出たほうがよいだろう。乳幼児などのお子さんを入れる場合は特に注意が必要だ。

菖蒲でハチマキ?

菖蒲湯に入る際、ただお湯につかるだけではなく、菖蒲の葉を頭に鉢巻(はちまき)のように締めると、菖蒲湯の効能が高まる、頭が良くなる、などの変わった説があるようだ。

これはおそらく、武家社会の縁起かつぎとして、武士が戦闘の際にしめていた鉢巻を子供が模倣して遊ぶ延長線上にある儀式のように感じられる。効能は期待できないかもしれないが、イベントとして楽しむのはアリだろう。

ハナショウブとは別物

アヤメ科アヤメ属のハナショウブ(花菖蒲/アヤメ)は、菖蒲湯に使うショウブ科(かつてはサトイモ科)の葉菖蒲とは別物。

ハナショウブは観賞用の花なので、仮に間違って買ってきてしまっても全く無駄になることはないが、お風呂に入れても葉菖蒲のような効能や葉の香りは期待できないので注意が必要だ。

菖蒲はどこで買える?売ってる場所は?

菖蒲湯に使う葉菖蒲は、端午の節句が近づく4月下旬から5月初旬に、生花店や八百屋、スーパーなどで売られている(場合がある)。

近所の花屋さんやスーパーなどで買えない場合は、楽天やヤフーショッピングなどのネットショップで4月下旬頃に探してみるとよいだろう。

菖蒲湯まつり

石川県加賀市山代温泉では、毎年6月4日・5日に「菖蒲湯祭り」が開催される。6月なのは旧暦の端午の節句ということだろう。

菖蒲湯祭りでは、菖蒲神輿が山代温泉をねりまわり、一年の無病息災が祈願される。お祭り期間中は、邪気を払う菖蒲の香りが町中に広がるという。

ご家庭のお風呂で入る菖蒲湯も楽しいが、こうした温泉地で祭りを楽しみながら入る菖蒲湯もなかなか乙なものがありそうだ。

端午の節句

端午の節句 意味と起源・由来
邪気を払う菖蒲が武家の縁起物に
柏餅・ちまきを食べる意味・理由は?
子供の健やかな成長を願って食べる日本の年中行事
5月の年中行事・季節のイベント
こいのぼり、子供の日、立夏、母の日、五月祭(ヨーロッパ)
年中行事・季節のイベント
日本と世界の年間行事、祝祭日、季節のイベント、暮らしの歳時記

こどもの日のうた

こいのぼり 歌詞の意味 童謡・唱歌
5月5日は子供の日。屋根より高い鯉のぼり。
背くらべ(柱のキズは おととしの)
5月の端午の節句の様子が描かれた日本の童謡。
5月のうた
こいのぼり、背くらべ、茶摘(夏も近づく八十八夜)、夏は来ぬ