仕事の歌(ドゥビヌシカ)Dubinushka

ロシア民謡・作業歌/丸太を運ぶ労働者の歌

『仕事の歌(ドゥビヌシカ)Dubinushka』(Дубинушка)とは、19世紀後半のロシア帝国の頃から伝わるとされるロシア民謡・作業歌・労働歌。

曲名の「ドゥビヌシカ Dubinushka」とは、「丸太ん棒」、「棍棒」などの木材や木製の道具を表す。具体的には、船の荷揚げや、綱を引くろくろ(轆轤)の軸木に使われた樫の丸太ん棒を指しているようだ。

上写真:シベリアで強制労働に就く労働者

原曲の『ドゥビヌシカ Dubinushka』には様々な歌詞やメロディが存在したと思われるが、今日知られるバージョンとしては、ボグダーノフが1865年に発表したものが定着しているものと思われる。

1905年の日露戦争に続く第一次ロシア革命の頃から、革命をテーマとした歌詞に改められ革命歌としてロシア帝国で盛んに歌われたが、今日ではこの革命歌版『ドゥビヌシカ Dubinushka』は歌われなくなったようだ。この場合、「Dubinushka」は武器としての「棍棒」と訳すことになるのだろうか。

【試聴】ロックアレンジ Dubinushka

【試聴】Dubinushka

歌詞の一例・日本語訳(意訳)

Много песен слыхал я в родной стороне
В них про радость, про горе мне пели,
Но из песен одна в память врезалась мне
Это песня рабочей артели.

色んな場所で色んな曲を聴いてきた
色んな歌から喜びも悲しみも教わった
中でも記憶に残るたった一つの曲は
労働者たちの歌だった

Эх, дубинушка, ухнем!
Эх, зеленая сама пойдет!
Подернем, подернем, Да ухнем!

丸太ん棒 緑のデカブツ
引け!引け!動かせ!

日本語歌詞(合唱団白樺版)

1.
悲しい歌 うれしい歌
いろいろ聞いたけれど
忘れられぬ歌は一つ
それこそ仕事の歌

<コーラス>
エイ! みんなでひけや
エイ! 力を合わせて
声を合わせてひけや

2.
親は倒れ 死の間際に
息子に残すものは 貧しい暮らし
つらい運命(さだめ)
悲しい仕事の歌 

3.
親から子へ 子から孫へ
それは歌いつがれて
身も心も疲れたとき
なぐさめ力づける

4.
シベリアへの道は遠く
囚(とら)われ人は歩む
鎖の音うつろになり 流れる仕事の歌

5.
道の端に山をなして
うち捨てられた骨は
皇帝どもの手なぐさみに
殺された者の骨

6.
おごる者ら ほしいままに
酒におぼれる陰で
積もる雪の下にあえぐ
哀れなロシアの民

7.
夜の闇もやがては去り
苦しむ民は目覚め
皇帝どもを倒すときに
歌わん仕事の歌

フォスター歌曲の津川氏が訳詞

日本では、アメリカ民謡の父スティーブン・フォスターの楽曲を日本に広めた津川主一(つがわ・しゅいち)氏による『仕事の歌』として日本語に訳詞され、1960年代から70年代を中心とするの歌声喫茶(うたごえきっさ)で歌われた。

1.
悲しい歌 うれしい歌
たくさん聞いたなかで
忘れられぬ一つの歌
それは仕事の歌
忘れられぬ一つの歌
それは仕事の歌

<コーラス>
ヘイ この若者よ
ヘイ 前へと進め
さあ みんな前へと進め

2.
イギリス人は利口だから
水や火などを使う
ロシア人は歌をうたい
自らをなぐさめる
ロシア人は歌をうたい
自らをなぐさめる

3.
死んだ親が後に残す
宝物は何ぞ
力強く男らしい
それは仕事の歌
力強く男らしい
それは仕事の歌

<引用:津川主一『仕事の歌』訳詞より>

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