コサックの子守歌 Cossack Lullaby

ロシア歌曲/いつかコサック兵として戦場へ赴く我が子

『コサックの子守歌』は、19世紀前半に採譜されたロシア民謡を元にした歌曲。黒海とカスピ海に挟まれた北コーカサス地方テレク川流域のコサック村で採譜された。

歌詞に描かれるのは安らかに眠る幼き我が子と母親。すやすやと眠る幼子の傍らで、この子が成長しやがてコサック兵として戦場に赴くであろう将来に一抹の不安と寂しさを感じながらも、親子が一緒にいられる穏やかな時間をかみしめながら、静かに子供を寝かしつける母親の心境が切々と歌詞に歌い込まれている。

曲として歌詞をまとめたのは、ロシアの詩人で騎兵将校を務めたミハイル・ユーリエヴィチ・レールモントフ(Михаил Юрьевич Лермонтов/1814-1841)。

やがて友人らの手を経てロシア中に広がり、諸外国の演奏家らの注目を集め、20世紀にかけてヨーロッパに広がって愛唱されたという。

日本では、作詞家の津川 主一(つがわ しゅいち)氏による訳詞がつけられた4分の3拍子の編曲版が広く定着しているが、ロシアをはじめとするヨーロッパでは4分の4拍子もしくは4分の2拍子の曲が一般的なようだ。

ちなみに訳詩者の津川氏は、『夢路より(夢見る人)』、『金髪のジェニー』などフォスター歌曲の訳詞者としても知られている。

また、『コサックの子守歌』以外にも、モーツァルトやブラームスなど、世界には有名な子守歌が存在する。詳しくは「世界の有名な子守歌 解説と視聴」を適宜参照されたい。

挿絵:A Cossack on Guard - Józef Brandt (1841-1915)

【試聴】コサックの子守歌 Cossack Lullaby

【視聴】 Oleg Pogudin コサックの子守唄

一般的な歌詞・日本語訳(訳詩)

1.
Спи, младенец мой прекрасный,
Баюшки-баю.
Тихо смотрит месяц ясный
В колыбель твою.
Стану сказывать я сказки,
Песенку спою;
Ты ж дремли, закрывши глазки,
Баюшки-баю.

眠れ我が子 ねんねんころり
明るい月が見守る中で
話や歌にまどろみながら
そっと目を閉じお眠りなさい
ねんねんころり おころりよ

2.
По камням струится Терек,
Плещет мутный вал;
Злой чечен ползёт на берег,
Точит свой кинжал;
Но отец твой старый воин,
Закалён в бою:
Спи, малютка, будь спокоен,
Баюшки-баю.

テレクの流れに濁る大波
刃を研ぐ悪しきチェチェン族
歴戦の強者たる父に守られ
我が子よ、今は静かに眠れ
ねんねんころり おころりよ

3.
Сам узнаешь, будет время,
Бранное житьё;
Смело вденешь ногу в стремя
И возьмёшь ружьё.
Я седельце боевое
Шелком разошью...
Спи, дитя моё родное,
Баюшки-баю.

時が来ればやがて分かる
戦いの毎日がやって来ると
勇ましく馬にまたがり
銃を構える日が来ると
鞍に刺繍しかできないけれど
お休み我が子
ねんねんころり おころりよ

4.
Богатырь ты будешь с виду
И казак душой.
Провожать тебя я выйду -
Ты махнешь рукой...
Сколько горьких слёз украдкой
Я в ту ночь пролью!..
Спи, мой ангел, тихо, сладко,
Баюшки-баю.

いつかお前はコサックとして
身も心も英雄になって
見送る私に 手を振るお前
私は人知れず むせび泣き
夜を明かすでしょう
私の天使よ 静かに眠れ
ねんねんころり おころりよ

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