東京五輪音頭 歌詞の意味

演歌歌手・三波春夫を代表する1964年東京オリンピックテーマ曲

「オリンピックの顔と顔♪ ソレ トトント トトント 顔と顔♪」のフレーズが印象的な『東京五輪音頭』。東京オリンピック(1964年)のテーマソングとして前年の1963年6月にリリースされた。作詞:宮田隆、作曲:古賀政男。

盆踊りの曲としても定着しており、特に2020年東京オリンピックの開催が決定してからは、以前にも増して夏祭りの盆踊りの曲目に加えられる機会が多くなったようだ。

リリース当初は三橋美智也の曲として発表された『東京五輪音頭』だったが、戦後復興を象徴する一大イベントのテーマ曲であることに鑑みてか、レコーディングの権利は各レコード会社に開放され、三波春夫、橋幸夫、坂本九らが次々と独自のカバー盤をリリースした。

周知のとおり、最も売り上げを記録したのが三波春夫。東京オリンピックが開催された1964年だけで130万枚以上のセールスを記録した。

東京オリンピックが開催される前年の1963年末に放送されたNHK紅白歌合戦では、通常エンディング曲として全員合唱される『蛍の光』が『東京五輪音頭』に差し替えられた。2020年の東京オリンピックでは、NHK関連番組でこうした特別な計らいがあるのだろうか。

【YouTube】東京五輪音頭 三波春夫

歌詞の意味は?

『東京五輪音頭』の歌詞はどのような内容なのだろうか?作詞:宮田隆による歌詞を次のとおり引用して、その意味を簡単に補足してみたい。

1. ハアー (ソレ)
あの日ローマで ながめた月が
(ソレ トトントネ)
きょうは 都(みやこ)の 空照らす
(ア チョイトネ)
四年たったら また会いましょと
かたい約束 夢じゃない
ヨイショ コリャ 夢じゃない

オリンピックの 顔と顔
ソレ トトント トトント 顔と顔

2.ハアー (ソレ)
待ちに待ってた 世界の祭り
(ソレ トトントネ)
西の国から 東から
(ア チョイトネ)
北の空から 南の海も
越えて日本へ どんときた
ヨイショ コリャ どんときた

オリンピックの 晴れ姿
ソレ トトント トトント 晴れ姿

3.ハアー (ソレ)
色もうれしや 数えりゃ五つ
(ソレ トトントネ)
仰ぐ旗みりゃ はずむ胸
(ア チョイトネ)
すがた形は 違っていても
いずれおとらぬ 若い花
ヨイショ コリャ 若い花

オリンピックの 庭に咲く
ソレ トトント トトント 庭に咲く

4.ハアー (ソレ)
きみがはやせば 私はおどる
(ソレ トトントネ)
菊の香りの 秋の空
(ア チョイトネ)
羽をそろえて 拍手の音に
とんでくるくる 赤とんぼ
ヨイショ コリャ 赤とんぼ

オリンピックの 今日の歌
ソレ トトント トトント 今日の歌

一番の歌詞で「あの日ローマで」とあるのは、1960年(昭和35年)にイタリアのローマで開催されたローマオリンピックのこと。男子マラソンでエチオピア出身のアベベ選手が裸足で走って金メダルを獲得した大会として有名。

アベベ選手は、1964東京オリンピックではプーマのシューズを履いて走り、20km地点辺りから独走態勢で史上初の二連覇を果たした。

「トトント」という表現については、祭りの大太鼓を叩く擬音としては軽いので、大太鼓の横でリズムを取るための小太鼓(半太鼓)の擬音か。

二番の歌詞

「西の国から 東から」という表現は、1964東京オリンピックの3年後にリリースされた大阪万博テーマ曲『世界の国からこんにちは』冒頭の歌詞にも受け継がれているように感じられる。歌は同じく三波春夫。

三番の歌詞

三番の歌詞の「色もうれしや 数えりゃ五つ」とは、いうまでもなくオリンピックのシンボルである五輪のオリンピックマークのこと。

世界5大陸を5つの重なり合う輪で表現したもので、参加国の国旗に使われている色が少なくとも一つは含まれているように選定された。

四番の歌詞

四番に登場する「秋」や「赤とんぼ」などの歌詞は、10月に開催された1964東京オリンピックの開催時期・季節感を表現している。

「きみがはやせば 私はおどる」の「はやせば(囃せば)」は、手を打ったり、声を出したりして歌舞の調子をとったり、囃し立てること。または祭りのお囃子(はやし)のこと。

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