江刺甚句 歌詞と意味 甚句踊り

岩手県奥州市江刺に江戸時代から伝わる甚句踊り

『江刺甚句』(えさしじんく)は、岩手県奥州市江刺(えさし)に伝わる岩手県民謡。昭和初期に赤坂小梅がレコード収録している。

毎年5月の「江刺甚句まつり」では、『江刺甚句』に合わせて踊りながらパレードを行う甚句踊り(行進甚句)が実施される。

江刺甚句まつり パレード

写真:江刺甚句まつりのパレード(出典:江刺甚句まつり実行委員会)

江刺甚句踊りは、江戸時代の伊達藩の頃からその原型が伝わる歴史ある踊りで、江刺では酒宴・酒席での座敷踊りや盆踊りで踊られる。

踊り方は、男女向かい合わせで踊る「組甚句」と、パレードで踊られる「行進甚句」の二つがある。

【試聴】江刺甚句まつり 江刺甚句大パレード

【試聴】 江刺甚句 踊り方・振り付け

歌詞の一例

一、
甚句踊りは 門(かど)まで来たや
(チョイサノサッサ チョイサノサッサ)
じいさま出てみろ アリャ 孫つれて
(チョイサノサッサ チョイサノサッサ)

<以下、唄ばやし省略>

二、
この家座敷は めでたい座敷
鶴と亀とが アリャ 舞い遊ぶ

三、
甚句踊らば 品良く踊れ
品の良いのを アリャ嫁にとる

四、
めでたうれしや 思ふことかのうた
四つのすみから アリャ 黄金わく

五、
甚句踊りの 江刺の里は
味がじまんの アリャ米どころ

歌詞の意味

『江刺甚句』一番と二番の歌詞を見ると、この歌には「門付(かどづけ)」の要素が唄い込まれていることが分かる。

門付(かどづけ)とは、大道芸人が裕福な家の門口(かどぐち)で芸を行い、家の主人から投げ銭・金銭を受け取る伝統芸能のこと。主に江戸時代に盛んにおこなわれた。

少しでも多くお金をもらえるように、門付芸人は家の主人を必死にべた褒め・ヨイショする。『江刺甚句』の歌詞で言うと、二番の歌詞がその「べた褒め・ヨイショ」にあたる。

門付が唄い込まれた民謡としては、「この家旦那様は 俵積みが大好きで♪」が歌い出しの青森県民謡『南部俵積み唄』が特に有名。

品の良いのを嫁にとる

「品の良いのを嫁にとる」の部分については、日本各地の民謡・盆踊り歌で同様のフレーズが登場する。例えば、岩手県のお祭り『盛岡さんさ踊り』では、次のような歌詞で歌われることがある。

サッコラチョイワヤッセー
さんさ踊らばヤハエ
品よく踊れ
(サッコラチョイワヤッセー)
品のよいのを
嫁にとるサンサエー

<歌詞:『盛岡さんさ踊り』より>

また、「エライヤッチャ エライヤッチャ ヨイヨイヨイヨイ」の掛け声で知られる『阿波踊り』でも、同様の歌詞で歌われる場合がある。

エライヤッチャ エライヤッチャ
ヨイヨイヨイヨイ

踊り踊らば 品良く踊れ
品の良い娘を 嫁にとる

<歌詞:徳島県民謡『阿波踊り』より>

思ふことかのうた

四番の歌詞にある「思ふことかのうた」とは、「思っていることが叶った、願い事がかなった」の意味。

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