この道 北原白秋

北原白秋が訪れた北海道/福岡の母の実家への道の情景

『この道』は、作詞:北原白秋、作曲:山田耕筰による日本の唱歌・歌曲。原詩は1926年(大正15年)発行の雑誌「赤い鳥」に掲載された。

歌詞には、北原白秋が晩年に旅行した北海道と、母の実家である熊本県南関町から柳川までの道の情景が歌い込まれている(1番と2番が北海道、3番以降が柳川)。

ニセアカシアの白い花

写真:ニセアカシアの白い花

白秋は、1885年(明治18年)1月25日、熊本県南関町の母の実家で生まれ、まもなく柳川の家に戻った。

この母の実家から柳川までの道は白秋にとって格別な思い入れがあり、帰省のたびに欠かすことなく訪ねるのがこの上ない楽しみだったという。

【試聴】この道

歌詞:北原白秋『この道』

この道は いつか来た道
ああ そうだよ
あかしやの花が咲いてる

あの丘は いつか見た丘
ああ そうだよ
ほら 白い時計台だよ

この道は いつか来た道
ああ そうだよ
お母さまと馬車で行ったよ

あの雲も いつか見た雲
ああ そうだよ
山査子(さんざし)の枝も垂れてる

ニセアカシアの花

北原白秋『この道』の歌詞にある「あかしや」とは、北米原産のマメ科ハリエンジュ属の落葉高木ニセアカシアのこと。本来のアカシアと区別するために「ニセ」アカシアと呼ばれる。

和名はハリエンジュ(針槐)。日本には1873年に渡来した。5月頃に房状の白い花を咲かせる(下写真)。

ニセアカシアの花

ニセアカシアは成長が早く、痩せた土地や海岸付近の砂地でもよく育つ。薪炭材としても活用され、寒冷地の暖房用燃料として北海道に多く植樹された。

ちなみに、ニセアカシアの花は天ぷらにしたり、ホワイトリカーにつけ込んでアカシア酒を作ったりと食用にもなる。ハチミツ(蜂蜜)の蜜源としても広く利用されている(アカシア蜂蜜)。

アカシアの花

本来のアカシアの花は、マメ科ネムノキ亜科のギンヨウアカシアやフサアカシアなどの黄色い花。オーストラリア原産。ミモザとも呼ばれ、3月頃に球状の花をつける。比較的温暖な場所で栽培される。

ギンヨウアカシアの黄色い花

写真:ギンヨウアカシアの黄色い花

サンザシ

『この道』四番の歌詞にある「山査子(さんざし)」とは、バラ科サンザシ属の落葉低木サンザシのこと。英語名は「ホーソーン(Hawthorn)」。

中国原産で、日本には江戸時代(1734年)に小石川御薬園へ持ち込まれた。様々な種類があるが、トキワサンザシ(ピラカンサ)が特に有名。

トキワサンザシ(ピラカンサ)の赤い実

写真:トキワサンザシ(ピラカンサ)の赤い実

サンザシは鑑賞用の庭木や盆栽によく用いられるほか、熟して赤くなった果実は生薬や果実酒、ドライフルーツなどの食材になる。そのまま食べると酸味が強い(若干毒性があるので注意)。

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