祇園小唄

しのぶ思いを振袖に 祇園恋しや だらりの帯よ

「月はおぼろに東山」の歌い出しで知られる『祇園小唄』(ぎおんこうた)は、1930年(昭和5年)の歌謡曲。作詞:長田幹彦、作曲:佐々紅華。

歌詞では、「東山」、「祇園」、「大文字」、「鴨の河原」といった京都の地名や風物詩が散りばめられ、「振袖」、「だらりの帯」、「口紅」などの舞妓さんを連想させる語句も随所に用いられている。

『祇園小唄』の歌詞で締めに繰り返される「だらりの帯」とは、京都の舞妓が着る振袖のだらり結びにした帯を指す。見習い期間に姐さん芸妓と茶屋で修業する際は、半分の長さの「半だらり」の帯となる。

舞妓の初期における髪型は「割れしのぶ」。店出しから間もない年少の舞妓が結う髷(まげ)で、「ありまち鹿の子」や「鹿の子留め」など特徴的な髪飾りが目を引く華やかで愛らしい髪型。『祇園小唄』の歌詞で「しのぶ思いを振袖に」とあるが、この舞妓の髪型の名称と無関係ではないだろう。

日本の民謡・童謡・唱歌 歌詞と視聴

【試聴】祗園小唄 下谷二三子

歌詞:『祇園小唄』

1.
月はおぼろに東山
霞む夜毎のかがり火に
夢もいざよう紅桜
しのぶ思いを振袖に
祇園恋しや だらりの帯よ

2.
夏は河原の夕涼み
白い襟あしぼんぼりに
かくす涙の口紅も
燃えて身をやく大文字
祇園恋しや だらりの帯よ

3.
鴨の河原の水やせて
咽(むせ)ぶ瀬音に鐘の声
枯れた柳に秋風が
泣くよ今宵も夜もすがら
祇園恋しや だらりの帯よ

4.
雪はしとしとまる窓に
つもる逢うせの差向(さしむか)い
灯影(ほかげ)つめたく小夜(さよ)ふけて
もやい枕に川千鳥
祇園恋しや だらりの帯よ