朝だ元気で 歌詞と解説

朝だ 朝だよ 朝日がのぼる 空にまっ赤な 日がのぼる

「朝だ 朝だよ 朝日がのぼる」が歌い出しの『朝だ元気で』は、昭和16年(1941年)にラジオ放送で発表された国民歌謡。作詞:八十島 稔、作曲:飯田信夫。

戦後に歌詞が一部変更され、中学校の音楽教科書にも掲載された。

汽車ぽっぽ』などのように、戦前の歌が戦後に修正される例は少なくないが、この『朝だ元気で』については、他の曲と比べて修正の度合いが比較的小さいように思われる。

歌詞の具体的な変更点の例については後述する。

【YouTube】歌詞つき動画『朝だ元気で』

歌詞

朝だ朝だよ 朝陽がのぼる
燃ゆる大空 陽がのぼる
みんな元気で 元気で起てよ
朝はこころを きりりとしめて
あなたも私も 君等も僕も
ひとり残らず そら起て朝だ

朝だ朝だよ 朝陽がのぼる
今日も歓喜の 陽がのぼる
みんな明るく 明るく起てよ
朝はこころも からりと晴れる
あなたも私も 君等も僕も
ひとり残らず そら起て朝だ

朝だ朝だよ 朝陽がのぼる
日本国中 陽がのぼる
みんなそろうて そろうて起てよ
朝はとどろく 東亜のために
あなたも私も 君等も僕も
ひとり残らず そら起て朝だ

一番の歌詞の修正点

現在歌われている『朝だ元気で』の歌詞と、昭和16年(1941年)発表当時の歌詞を比べてみたい。まず、一番の歌詞の前半を次のとおり引用し比較する。

■現在の歌詞:一番の前半

朝だ 朝だよ 朝日がのぼる
空にまっ赤な 日がのぼる
みんな元気で 元気で起きよ

■当初の歌詞:一番の前半

朝だ 朝だよ 朝陽がのぼる
燃ゆる大空 陽がのぼる
みんな元気で 元気で起(た)てよ

昔の歌詞から微妙に修正が加えられているが、内容が一変してしまうほどの大きな変更ではないように思われる。

続いて一番の歌詞の後半を次のとおり引用し比較してみよう。

■現在の歌詞:一番の後半

朝はこころも からりと晴れる
あなたも わたしも 君らも僕も
ひとり残らず 起きよ 朝だ

■当初の歌詞:一番の後半
朝は心も きりりとしめて
あなたもわたしも 君等も僕も
ひとり残らず そら起て朝だ

主な修正点は、「きりりとしめて」が「からりと晴れる」となったぐらいで、それほど大きな修正は入っていないのが分かる。当初の歌詞のままでも特に問題はなさそうだ。

二番の歌詞の修正点

『朝だ元気で』二番の歌詞の修正点は二か所だけ。「明るく起てよ(たてよ)」が「明るく起きよ」に、「そら起て」が「起きよ」に差し替えられているのみ。

三番の歌詞の修正点

三番の歌詞の大きな修正点は二点。「日本国中 陽がのぼる」が「まちに いなかに 日がのぼる」に、「朝はとどろく 興亜の鐘に」が「朝はうれしい みどりの空だ 」に差し替えられた。

「興亜(こうあ)」とは、アジア(亜細亜)諸国の勢力を盛んにすること。現代では保険会社の社名にもなった用語。日本を占領していたアメリカGHQにとっては、アジアの隆盛は看過できない言葉だったようだ。

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