天城越え 歌詞と地名の解説 石川さゆり

伊豆半島に広がる日本百名山・天城山を題材とした石川さゆりの代表曲

『天城越え』(あまぎごえ)は、1986年7月21日に発売された石川さゆりの楽曲。作詞:吉岡治、作曲:弦哲也(げん てつや)。

同年末の「NHK紅白歌合戦」で初披露されて以来、『津軽海峡・冬景色』と並ぶ紅白常連曲となっている。

「天城」(あまぎ)とは、静岡県の伊豆半島中央部に広がる日本百名山の一つ・天城山(あまぎさん)のこと。

浄蓮の滝(じょうれんのたき)などの観光名所も歌詞に盛り込まれており、静岡県のご当地ソングとしての側面もある。

天城山 あまぎさん 静岡県 伊豆半島

写真:天城山(あまぎさん)/静岡県伊豆半島(出典:Wikipedia)

【YouTube】天城越え - 石川さゆり

歌詞

隠しきれない 移り香が
いつしかあなたに 浸みついた
誰かに盗られる くらいなら
あなたを 殺していいですか

寝乱れて 隠れ宿
九十九(つづら)折り 浄蓮(じょうれん)の滝

舞い上がり 揺れ墜ちる 肩のむこうに
あなた……山が燃える
何があっても もういいの
くらくら燃える 火をくぐり
あなたと越えたい 天城越え

口を開けば 別れると
刺さったまんまの 割れ硝子
ふたりで居たって 寒いけど
嘘でも抱かれりゃ あたたかい

わさび沢 隠れ径
小夜時雨(さよしぐれ) 寒天橋

恨んでも 恨んでも 躯うらはら
あなた……山が燃える
戻れなくても もういいの
くらくら燃える 地を這って
あなたと越えたい 天城越え

走り水 迷い恋
風の群れ 天城隧道(ずいどう)

恨んでも 恨んでも 躯うらはら
あなた……山が燃える
戻れなくても もういいの
くらくら燃える 地を這って
あなたと越えたい 天城越え

歌詞の意味・補足

九十九(つづら)折り

坂道や登山道が幾重にもジグザグに曲がりくねって続く様子。「つづら」の語源には諸説あるが、葛籠(つづら)の原料ツヅラフジのつるが複雑に曲がりくねる様子に由来するとも言われる。「葛折(り)」とも書かれる。

小夜時雨(さよしぐれ)

夜にサーッと短い時間に降る雨。冬の季語。

天城隧道(ずいどう)

旧天城トンネルのこと。正式には「天城山隧道」。川端康成の小説「伊豆の踊子」や松本清張の小説「天城越え」の舞台として有名

浄蓮の滝

浄蓮の滝(じょうれんのたき)は、静岡県伊豆市湯ヶ島にある滝。日本の滝百選の一つ。

かつて滝の左岸付近に「浄蓮寺」という寺院があったことから「浄蓮の滝」という名称がついたとされる。

浄蓮の滝に設置された歌碑

写真:浄蓮の滝に設置された歌碑(出典:Wikipedia)

天城山隧道(旧天城トンネル)

1905年(明治38年)に完成した日本初の石造道路トンネルであり、日本に現存する最長の石造道路トンネル。

石川さゆり『天城越え』の歌詞で「天城隧道(ずいどう」として登場する。

新天城トンネルと区別するため「旧天城トンネル」とも呼ばれる。

天城山隧道 あまぎさんずいどう 旧天城トンネル

写真:天城山隧道(あまぎさんずいどう)/出典:Wikipedia

寒天橋

寒天橋(かんてんばし)は、旧天城トンネルを河津町の方へ抜けたところにある橋。伊豆の海で採れた海草・天草(テングサ)を信州へ運ぶルート上にあったことから名づけられたという。

地図:寒天橋(出典:GoogleMap)

石川さゆり ベストアルバム

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