野ばら(ヴェルナー)

ゲーテの野ばらに新たな命を吹き込んだドイツの音楽教師ヴェルナー

「童は見たり(わらべはみたり)、野なかのばら」の歌い出しで知られるドイツ歌曲「野ばら」は、日本ではシューベルト版(1815年)と並び、ハインリッヒ・ヴェルナー(Heinrich Werner/1800-1833)によるメロディーが広く知られている。

ヴェルナーの故郷キルホームフェルト(Kirchohmfeld)には、野バラに囲まれた記念の石碑が置かれている(上写真)。

ヴェルナーの父は教師で、プロテスタント教会のオルガニスト兼合唱隊指揮者を務めていた。彼の兄弟はすべて音楽関連の職業についた音楽一家である。

父親から音楽の教育を受け、すでに11歳の時には村の教会でオルガンを弾いていたというヴェルナー。15歳のときにアンドレアスベルグの少年聖歌隊に入隊した。

21歳頃から教職試験の勉強を始め、翌年に合格後し、兄の住むブラウンシュバイッヒに移り住んだ。そこでオペラハウスのコーラス団長となり、並行して音楽教師として働き始めた。

シューベルトに感化されて作曲されたヴェルナーの「野ばら」は、彼が指揮を務めたブラウンシュヴァイク男性合唱団により1829年に初演され、すぐに人気を博して有名になった。その後ドイツ各地で公演していた彼だが、32歳頃に肺結核にかかり、翌年(1833年)に帰らぬ人となった。

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【試聴】野ばら(ヴェルナー)

歌詞(ドイツ語)・日本語訳(意訳)

Sah ein Knab' ein Röslein stehn,
Röslein auf der Heiden,
war so jung und morgenschön,
lief er schnell, es nah zu sehn,
sah's mit vielen Freuden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

少年が見つけた小さな野ばら
とても若々しく美しい
すぐに駆け寄り間近で見れば
喜びに満ち溢れる
バラよ 赤いバラよ 野中のバラ

Knabe sprach: "Ich breche dich,
Röslein auf der Heiden!"
Röslein sprach: "Ich steche dich,
dass du ewig denkst an mich,
und ich will's nicht leiden."
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

ウィーンの森の物語 / ウィーン少年合唱団

少年は言った 「君を折るよ」
野ばらは言った 「ならば貴方を刺します
いつも私を思い出してくれるように
私は苦しんだりはしません」
バラよ 赤いバラよ 野中のバラ

Und der wilde Knabe brach
's Röslein auf der Heiden;
Röslein wehrte sich und stach,
half ihm doch kein Weh und Ach,
musst' es eben leiden.
Röslein, Röslein, Röslein rot,
Röslein auf der Heiden.

少年は野バラを折った
野バラは抵抗して彼を刺した
傷みや嘆きも彼には効かず
野バラはただ耐えるばかり
バラよ 赤いバラよ 野中のバラ

歌詞:近藤 朔風(こんどう さくふう)

童(わらべ)はみたり 野なかの薔薇(ばら)
清らに咲ける その色愛(め)でつ
飽かずながむ
紅(くれない)におう 野なかの薔薇

手折(たお)りて往(ゆ)かん 野なかの薔薇
手折らば手折れ 思出ぐさに
君を刺さん
紅におう 野なかの薔薇

童は折りぬ 野なかの薔薇
折られてあわれ 清らの色香(いろか)
永久(とわ)にあせぬ
紅におう 野なかの薔薇