Hänschen klein
幼いハンス(ちょうちょの原曲)

ドイツ民謡・童謡

『Hänschen klein(幼いハンス)』は、古いドイツ民謡。

歌詞の中では、好奇心旺盛なハンス坊やが冒険の旅に出て、7年後にすっかり姿を変えて帰ってくるというストーリが展開されている。

メロディーが日本の「ちょうちょ」にそっくり?

『Hänschen klein(幼いハンス)』のメロディーを聴いてみると、日本の童謡「ちょうちょ」を誰もが思い出すだろう。

これは、伊沢修二がアメリカ留学中に音楽教育者メーソンからこの曲を教わり、日本の音楽教育の教材として使うために日本に持ち帰ったものと考えられる。

伊沢修二が持ち帰ったこの曲のメロディーは、1881年(明治14年)に日本初の音楽教科書である「小学唱歌集」に『蝶々(ちょうちょう)』として掲載されたようだ。

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歌詞・日本語訳・試聴:『幼いハンス Hänschen klein』

1.
Hänschen klein ging allein
In die weite Welt hinein.
Stock und Hut steht ihm gut
Ist gar wohlgemut.
Aber Mutter weinet sehr,
Hat ja nun kein Hänschen mehr.
"Wünsch dir Glück", sagt ihr Blick,
"Kehr nur bald zurück !"

<1番のストーリー>
 まだ幼いけど好奇心旺盛なハンス君は、ある日広い世界へ冒険の旅に出る事を決意します。よく似合う帽子と杖を持って、ご機嫌で歩いて行ってしまいました。お母さんはひどく泣いて悲しみましたが、それでも息子の幸運を祈り、心の中では、すぐに帰って来てほしいと願っていました。

2.
Sieben Jahr, trüb und klar,
Hänschen in der Ferne war.
Da besinnt sich das Kind,
Eilet heim geschwind.
Doch nun ist's kein Hänschen mehr,
Nein, ein großer Hans ist er,
Braun gebrannt Stirn und Hand.
Wird er wohl erkannt ?

<2番のストーリー>
 晴れの日も曇りの日も、ハンス君は冒険の旅を続け、いつの間にか7年もの間、異国の地で過ごしていました。ホームシックになったのかどうか分かりませんが、ある日ふと考え直して、急に故郷に帰りたくなったハンス君は、急いで家路へと向かい始めるのでした。

3.
Eins, zwei, drei gehen vorbei,
Wissen nicht, wer das wohl sei.
Schwester spricht:" Welch Gesicht",
Kennt den Bruder nicht.
Doch da kommt das Mütterlein,
Schaut ihm kaum ins Aug hinein,
Spricht sie schon "Hans, mein Sohn !
Grüß dich Gott, mein Sohn !"

<3番のストーリー>
 7年の月日は、幼いハンス君をすっかり別人に変えていました。体は成長し、顔や腕は真っ黒に日焼けして、人目見ただけでは、それが昔旅立っていった幼なかった頃のハンス君と同一人物であるとはほとんど気がつきません。

生まれ故郷の町に着いたハンス君でしたが、1人、2人、3人と、行き交う人は誰もそれがハンス君だと気がつかずに素通りしていってしまいました。いよいよ生家に帰り着いたハンス君でしたが、妹でさえも、「どちらさまでしょうか?」と兄であることに全く気がつかなかったのです。

 街の人や妹でさえも気が付かなかったハンス君のもとへ、お母さんが歩み寄ってきました。見た目や体つきこそは昔とすっかり変わってしまっていたハンス君でしたが、お母さんは、彼の目を見つめると、すぐにこう叫んだのです。

" Hans, mein Sohn, grus dich Hans, mein Sohn!"
 「ハンスや、私の息子よ、おかえり、私の息子よ!」