『私を泣かせてください Lascia ch'io pianga』は、ヘンデル作曲のオペラ「リナルド(RINALDO)」の第2幕に登場する有名なアリア。敵の魔術師に捕らわれた女性アルミレーナが恋人を想って自分の悲運を嘆くシーンで歌われる。「涙の流れるままに(流るるままに)」との表記も見られる。
オペラ「リナルド(RINALDO)」は、ヘンデルがロンドンにやってきて最初に発表したイタリアオペラ。初演は1711年2月にロンドンのヘイマーケットにある女王劇場で行われ大成功を収めた。ジャコモ・ロッシ(Giacomo Rossi)による台本で、タッソー(Torquato Tasso)の「解放されたエルサレム( Gerusalemme liberata/Jerusalem Delivered)が原作となっている。

舞台はエルサレムを包囲している十字軍のキャンプ。勇敢な騎士リナルドは、十字軍の総司令官ゴッフレード(Goffredo)の娘アルミレーナと恋に落ちていた。エルサレムを見事攻め落としたら、アルミレーナとの結婚を認めてもらえる約束だった。
ある日アルミレーナとリナルドが愛を確かめ合っていたところ、エルサレムの王アルガンテ(Argante)の妻アルミーダが二人の前に現れ、魔術を使ってアルミレーナを奪い去ってしまう。
捕らわれたアルミレーナは、その若さと美しさから、エルサレムの王アルガンテに執拗に迫られていた。アルガンテは、アルミレーナのためにアルミーダの魔術を解いてもよいとさえ言い出す始末だった。
恋するリナルドと引き裂かれ幽閉されてしまったアルミレーナ。自分の哀れな境遇をただ嘆き悲しむばかり。そんな耐え難い悲しみを分かろうともせず、執拗に迫ってくるアルガンテに対して、アルミレーナは私を一人にしてと言い放つのだった。
アリア:私を泣かせてください Lascia ch'io pianga
Lascia ch'io pianga mia cruda sorte,
e che sospiri la liberta.
私を一人で泣かせてください 残酷な運命に
溜息をつかせてください 失われた自由に
Il duolo infranga queste ritorte
de' mei martiri sol per pieta.
私の悲しみの鎖を打ち砕くは 哀れみだけ
リナルドは、味方の魔術師の助けを借りるために旅立った。その途中でアルミレーナの使いと称する美しい女性が現れる。リナルドはアルミーダの城に案内されるが、これはアルミーダの罠だった。
リナルドに密かな恋心を抱いていたアルミーダ。捕らわれたリナルドを前に、魔術でアルミレーナの姿に変身して彼の気を引こうとする。一旦は本物の彼女アルミレーナだと信じ込んだリナルドだったが、すぐにそれが偽者だと見破る。
捕らわれたリナルドとアルミレーナを救出すべく、ゴッフレードと彼の弟エウスターツィオは味方の魔術師の元へたどり着いた。そこで敵の宮殿の場所を教えてもらい、授かった特別な魔法の杖で敵の邪悪な魔術に対抗することを決意。
敵の宮殿に到着した彼らは、魔法の杖で宮殿の門を攻撃すると、たちまち邪悪な魔法は解け、宮殿は消え去った。追い詰められたアルミーダはアルミレーナに剣で襲い掛かり、守ろうとしたリナルドを魔法で拘束する。
そこへゴッフレード達が駆けつけて魔法の杖を振りかざすと、リナルドの拘束は解けた。動けるようになったリナルドがすかさず攻撃すると、アルミーダは魔術で消え去ってしまう。
結局戦いはゴッフレード十字軍の勝利に終わった。エルサレム王アルガンテと妻アルミーダは捕らえられ、キリスト教に回心した。無事に再会したリナルドとアルミレーナは、めでたく結ばれたのだった。
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