メトロポリタン美術館 歌詞と解説 みんなのうた

児童文学「クローディアの秘密」に基づくトラウマソング

『メトロポリタン美術館』(メトロポリタンミュージアム)は、NHK「みんなのうた」で1984年4月に初回放送された子供向けの歌。歌詞は児童文学「クローディアの秘密」が元ネタ(詳細は後述)。

歌詞では、深夜のメトロポリタン美術館で女の子が一人、天使の像と不思議なやりとりを繰り広げ、エジプトのファラオ石棺やエドガードガの絵画を見たあとで、大好きな絵の中に閉じ込められてしまうという、ちょっと怖いホラーな内容となっている。

同じくNHK「みんなのうた」で放送された『まっくら森の歌』と並び、小さい頃に見てしまった子供たちに消えない恐怖を植え付けるトラウマソングとして名高い。

作詞・作曲・歌唱は、女性シンガーソングライターの大貫 妙子(おおぬき たえこ/1953-)。

写真:メトロポリタン美術館のヨーロッパ彫刻広場(出典:Wikipedia)

【YouTube】メトロポリタン美術館

歌詞

『メトロポリタン美術館』

作詞・作曲:大貫 妙子

大理石の 台の上で
天使の像 ささやいた
夜になると ここは冷える
君の服を かしてくれる?

時間旅行は楽し
メトロポリタン美術館
赤い靴下でよければ 片っぽあげる

2.
エジプトでは ファラオ眠る
石のふとんに くるまって
呼んでみても 5000年の
夢を今も 見続けてる

時間旅行は楽し
メトロポリタン美術館
目覚まし時計 ここにかけておくから

バイオリンのケース トランペットのケース
トランクがわりにして 出発だ!

時間旅行は楽し
メトロポリタン美術館
大好きな 絵の中に とじこめられた

元ネタ「クローディアの秘密」について

NHKみんなのうた『メトロポリタン美術館』の歌詞は、1967年にアメリカの児童文学作家E.L. カニグズバーグが発表した「クローディアの秘密」のストーリーから大きな影響を受けている。

ヴァイオリンのケース トランペットのケース
トランク代わりにして 出発だ

クローディアの秘密」は、弟と家出した少女がメトロポリタン美術館に寝泊まりするという物語。ヴァイオリンのケースとトランペットのケースをトランク代わりにして荷物をつめる場面が描かれる。

さらに、「天使の像」や古代エジプトのミイラを収めた石棺なども登場し、同作は『メトロポリタン美術館』の歌詞の元ネタと考えてほぼ間違いなさそうだ。

絵画はエドガー・ドガ「ダンス教室」

ちなみに、『メトロポリタン美術館』の最後で「大好きな絵の中に閉じ込められ」る場面があるが、そこで少女が閉じ込められてしまう絵画は、フランスの印象派画家エドガー・ドガ(Edgar Degas/1834-1917)の作品「ダンス教室(踊りのレッスン)」。

クローディアの秘密」にはそのようなシーンはないので、これは『メトロポリタン美術館』オリジナルのオチということになるだろう。

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