ピート・ハミル(Pete Hamill)と
幸福の黄色いハンカチ
黄色いリボンの謎 ドナドナ研究室
Irwin Levineと L. Russell Brownに対して訴訟を起こしたある新聞記者とは、「the New York Post (ニューヨーク・ポスト)」の名物コラムニストとして有名な、ジャーナリストであり小説家でもあるピート・ハミル(Pete Hamill)その人です。
彼は、Irwin Levineと L. Russell Brownが"Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree."の著作権登録を行う10ヶ月近く前の1971年10月に"Going Home"というタイトルでコラムを書いていました。
そのコラムの内容が"Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree."のストーリーと酷似していることから、この曲は彼のコラムが元になっていると主張したのです。
彼のこのコラムは、山田洋次監督の『幸福の黄色いハンカチ』の原作として公式にクレジットされており、ピート・ハミル著 『ニューヨーク・スケッチブック/河出文庫』の中で、この彼のコラムを読む事ができます。
ピート・ハミルのコラムの内容とは、ある大学生がFort Lauderdaleへバスの旅へ出かけ、その旅の途中である前科者と友達になり、その前科者は、道路沿いのオークの幹に黄色いハンカチ(Yellow Handkerchief)が結ばれているかを気がかりにしているとのストーリーで、ハミルはこれを口頭伝承(Oral Tradition)により伝えられたものだと主張しました。
なお、彼のこのストーリーは、1972年6月にはABCテレビでドラマ化された程、当時は注目を浴びていたものだったようです。
監獄に入っていた年数や、「ハンカチ」と「リボン」の違いこそあれ、ストーリーの大筋は一致しており、ピート・ハミルの主張はもっともなように見えたのですが、被告側(Irwin Levineと L. Russell Brown側)に雇われた民謡研究家が、ピート・ハミルのコラムより前に書かれた文献を証拠として提出したことで、彼の請求は結局棄却されてしまったようです。
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黄色いリボンの謎 目次
- 高倉健「幸せの黄色いハンカチ」
- オークの木と黄色いリボン
- バスに乗って恋人の元へ
- 黄色いリボンの意味の違い
- 有名コラムニストの記事
- 白いリボンとリンゴの木?
- 放蕩息子の帰郷
- ジョン・ウェイン「黄色いリボン」
- 身に着けるか結びつけるか
- 1939年の音声資料とは?
- 騎兵の歌と黄色の関係とは?
- メロディーのルーツを求めて
【関連曲の試聴など】
アメリカ民謡『黄色いリボン She Wore a Yellow Ribbon』
トニー・オーランド&ドーン 『Tie a Yellow Ribbon Round the Ole Oak Tree』
【ドナドナ研究室とは?】
「ドナドナ研究室」とは、『アメイジング・グレイス』、『森のくまさん』、『グリーングリーン』、『ドナドナ』など、誰もが知ってるあの曲のエピソード・ルーツ・歴史的背景などの謎に迫る研究ページ。