
皆さんは、『幸福の黄色いハンカチ』(松竹)という邦画をご存知でしょうか?70年代の映画ですから、必ずしも劇場に足を運んで見た人ばかりではないでしょう。この作品は、『たそがれ清兵衛』、『男はつらいよ』などでも有名な山田洋次監督による1977年発表の名作です。
この『幸福の黄色いハンカチ』は、刑期を終えて網走の刑務所から出所したばかりの雄作(高倉健)が、行きずりの若いカップルとともに妻の光枝(倍賞千恵子)の住む夕張へ向かう姿を描いたロード・ムービーです。
“自分を待っていてくれるなら、家の前に黄色いハンカチを下げおいてくれ”
と妻に言い残した雄作でしたが、この「黄色いハンカチ」こそが、この映画の最大のシンボルであり、感動のラストシーンを演出するのになくてはならないものとなっています。おそらく、日本において「黄色いハンカチ」が愛する人の帰りを待つ シンボルとして位置づけられるようになったのは、この作品が公開されてから後のことだと思われます。
近年(2004年5月現在)、この「黄色いハンカチ(リボン)」が、イラク復興支援のための自衛隊派遣との関連でクローズアップされるようになってきました。山田洋次監督の
『幸福の黄色いハンカチ』 との「直接」の関係はないと思われますが、 自衛官の方々の現地での安全と活動の成功そして無事の帰還を願って「黄色いリボン」「黄色いハンカチ」を目立つところに掲げる運動が、
日本各地において広まりを見せているというのです。
イラク自衛隊派遣との関連でこのような運動が広まっていることを受けて、山田洋次監督は、
「映画のハンカチは夫婦愛の証し。戦争に行く兵士の無事を願うこととは本質的に違う」
と、強い違和感を示しているようです。確かに、映画のストーリーとはほとんど共通点のないイラク自衛隊派遣について黄色いハンカチが用いられるのは、山田洋次監督としては心外かもしれませんが、「愛する人の帰りを待つ」という点においては、両者には共通点があると言えなくもないでしょう。
果たして、刑務所からの出所を待つという点と、戦場からの帰還を待つという点とは、どのような関係をもっているのでしょうか?これを明らかにしていくためには、『幸福の黄色いハンカチ』の原作、そしてアメリカ民謡「She
wore a yellow ribbon」のルーツを探っていく必要があります。さっそく、「ドナドナ研究室 ファイルNo.009 黄色いリボン」、スタートです。