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彼女との運命の出会い

 ジャマイカに向けて出発するまでの間、ジョンはイングランド南東部ケント州の州都であるメイドストン(Maidstone)で父親の仕事を手伝っていました。メイドストンは彼の母親のいとこであり親友であったエリザベス・カトレット(Elizabeth Catlett)が住んでいるチャタム(Chatham)にとても近い場所でした。チャタムは古くからイギリス海軍の基地があり、今日では国立造船所や造船博物館などがある歴史ある街です(右図は2006年現在のイギリス)。

 ジョンが近くまで来ていることを知ったカトレットは彼を家に招き、一家から手厚い歓迎を受ける中、彼の視線は一人の女性に釘付けになっていました。その女性とは、カトレットの娘で自分より3歳年下のメアリー(Mary Catlett/当時14歳/通称ポリー)でした。

 一目で彼女を好きになってしまった彼は、彼女といる時間が楽しくて楽しくて、あっという間に予定の3日間は過ぎてしまいました。一旦ジャマイカへ出発してしまえば、少なくとも4~5年は戻って来れないことをわかっていた彼は、なんとかあれこれ理由をつけてずるずると、予定の3日間を遥かに超えて3週間も彼女の家に長居してしまったのでした。

 もともとジャマイカへの出発まであまり時間はありませんでしたから、カトレットの家に長居していた間に、彼の将来を約束するはずだったジャマイカへの船は、彼を置いて出発してしまっていました。若い彼にとっては、彼女といることがすべてであり、たとえ将来につながる大事な仕事とはいえ、数年間も彼女と会えなくなることは耐え難かったのです。

 この事実を知った彼の父親は嘆き、怒り、陸での仕事を与えるのは取り消しにして、商船の水夫として彼を一から叩き直すことを決意します。

 ジャマイカでの職のチャンスをみすみす逃し、罰として父親から命じられて商船の水夫として地中海への航海をこなしている間も、チャタムの家で出会った彼女の事が常に頭から離れませんでした。航海を終えてイングランドに戻ってくればいてもたっても居られなくなり、次の商船に乗り込むまでの時間を利用して彼女に会いに行こうとするほどでした。18歳という年頃ですから、異性に対するはち切れんばかりの情熱を抑えられなかったのも無理のないことでした。しかし、この彼女への情熱が、後の彼の人生の歯車を大きく狂わせていくことになるのです。

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