アンダンテ・カンタービレ

チャイコフスキー弦楽四重奏曲第1番 第2楽章

『アンダンテ・カンタービレ andante cantabile』は、チャイコフスキー作曲による弦楽四重奏曲第1番(作品11)第2楽章の通称。

「アンダンデ andante」は音楽用語で「歩くような速さで」の意味。「カンタービレ cantabile」は「歌うように、表情豊かに」を意味する。

チャイコフスキーが30歳頃の1871年に作曲された『アンダンテ・カンタービレ』。当時チャイコフスキーはモスクワ音楽院の教師を務めており、コンサートのプログラム曲として同曲が作曲された。

【YouTube】 アンダンテ・カンタービレ Andante Cantabile

トルストイも感動のあまり涙

その5年後の1876年12月、チャイコフスキーの親友であるニコライ・ルービンシュタイン(ルビンシテイン)は、モスクワで文豪レフ・トルストイを招いて特別コンサートを開いた。

同コンサートにはチャイコフスキーも招かれ、トルストイの隣の席に座って鑑賞していたが、『アンダンテ・カンタービレ』が演奏された際、トルストイは感動のあまり涙を流したという。

チャイコフスキーは10年後の日記で、「あの時ほど、喜びと感動をもって作曲家として誇りを抱いたことは、おそらく私の生涯に二度と無いであろう」と記している。

ウクライナで聴いた民謡がモチーフ?

Wikipediaによれば、『アンダンテ・カンタービレ』の冒頭のメロディは、「チャイコフスキーがウクライナで聴いた民謡に題材を得ている」とのこと。

具体的な曲名については記載がなかったが、おそらくはロシア民謡『ヴォルガの舟歌』が何らかの関係にあるのではないかと推測される。

ヴォルガの舟歌』のような労働歌は、複数の人がタイミングやペースを合わせて一つの作業を行うために歌われるワークソングだが、『アンダンテ・カンタービレ』がこの労働歌をモチーフとしているとすれば、それはまさに「カンタービレ(歌うように)」という発想標語が相応しい楽章と言えるだろう。

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