ワルツ第2番(セカンド・ワルツ)

スターリンの死後に作曲された雪どけの映画音楽

『ワルツ第2番(セカンド・ワルツ)』は、ソ連の作曲家ショスタコーヴィチが1950年代に作曲した『舞台管弦楽のための組曲』の一曲。1956年のソ連映画「第一軍用列車」のために作曲された。

『ジャズ組曲』第2番(1938年作曲)の一曲として紹介されることもあるが、『舞台管弦楽のための組曲』とは別の組曲。

スタンリー・キューブリック監督による1999年公開の映画「アイズ ワイド シャット(Eyes Wide Shut)」では、この『ワルツ第2番(セカンド・ワルツ)』が劇中曲として用いられた。

挿絵:ヴィルヘルム・ゴーズ「ホーフブルクの宮中舞踏会」(出典:Wikipedia)

【試聴】The Second Waltz - André Rieu

雪解けの時代とセカンド・ワルツ

『ワルツ第2番(セカンド・ワルツ)』が作曲された1950年代半ばは、東西の冷戦状態が緩和の方向へ大きく動いた「雪解け」の時代だった。

1953年のスターリン死去後、ソ連の最高指導者となったフルシチョフによって1956年に「スターリン批判」が行われ、スターリン時代の独裁と恐怖政治は終焉を迎えた。

スターリンの死に合わせるかのように、ショスタコーヴィチは第9番を最後に中断していた交響曲の作曲を再開。スターリンによる粛清を恐れて封印していた交響曲第4番も、作曲から数十年ぶりにこの頃に初演が行わている。

クレズマーの影響

NHK交響楽団Webサイトによる解説によれば、『ワルツ第2番(セカンド・ワルツ)』は、東欧系ユダヤ人の音楽「クレズマー(クレズメル/クレッツマー)」の要素が織り込まれているという。

『ワルツ第2番』のメロディは、ユダヤ人の音楽「クレズメル」的な響きを持っています。随所に半音階的な屈折が盛り込まれ、長音階と短音階が混合したその独特のメロディは、まさに陽気なのに哀れっぽい印象を与えます。

クレズマーといえば、当サイトで紹介している『ドナドナ』もその一つであり、哀愁あふれる物悲しいメロディが特徴的。

日本の歌謡曲もこのクレズマーから影響を受けた楽曲が多く、『ワルツ第2番(セカンド・ワルツ)』と同系統の作品としては、1902年(明治35年)に作曲された『美しき天然』がよく知られている。

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美しき天然
日本初のワルツとされる明治時代の唱歌。『ワルツ第2番(セカンド・ワルツ)』の冒頭と同じく、クレズマー的な響きをもっている。
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