組曲「展覧会の絵」 ムソルグスキー

友人の画家が遺した10枚の絵から着想した絵画的組曲

組曲『展覧会の絵』は、ロシア国民楽派を代表する作曲家ムソルグスキーによる1874年のピアノ組曲。

友人ヴィクトル・ハルトマン(ガルトマン)の遺作展を歩きながら、そこで見た10枚の絵の印象を音楽に仕立てた。

今日ではモーリス・ラヴェルによる管弦楽への編曲、いわゆるオーケストラ版が広く知られている。

ロシア・エルミタージュ美術館

組曲のうち特に有名なのが、冒頭で流れる短い前奏曲の『プロムナード Promenade』。曲の間にも間奏曲のように演奏される。

プロムナードとは、フランス語で「散歩、遊歩道」などの意味。この曲では、ムソルグスキーが美術館内を歩いている様子が描写されている。

もう一つ有名なのが、終曲『キエフの大門』。バラエティ番組「ナニコレ珍百景」でカメラがズームインする場面で、フィナーレがBGMに使われている。

写真:ロシア・エルミタージュ美術館(出典:Wikipedia)

【試聴】組曲「展覧会の絵」よりプロムナード

曲目一覧

第1プロムナード Promenade

1. 小人(グノーム)Gnomus

第2プロムナード

2. 古城 Il vecchio castello

第3プロムナード

3. テュイルリーの庭 - 遊びの後の子供たちの口げんか
Tuileries - Dispute d'enfants après jeux

4. ビドロ(牛車) Bydlo

第4プロムナード

5. 卵の殻をつけた雛の踊り
Ballet des poussins dans leurs coques

6. サムエル・ゴールデンベルクとシュムイレ
Samuel Goldenberg und Schmuÿle

第5プロムナード

7. リモージュの市場
Limoges - Le marché

8. カタコンベ - ローマ時代の墓
Catacombae - Sepulchrum Romanu

死せる言葉による死者への呼びかけ
Cum mortuis in lingua mortua

9. 鶏の足の上に建つ小屋 - バーバ・ヤガー
La cabane sur des pattes de poule - Baba-Yaga

10. キエフの大門
La grande porte de Kiev

親友の画家ヴィクトル・ハルトマンとは?

ヴィクトル・ハルトマン(ガルトマン/Viktor Alexandrovich Hartmann/1834-1873)は、サンクトペテルブルク出身のロシアの建築家・画家。

伝統的なロシアのモチーフを自作にとり入れた最初の美術家の一人で、ムソルグスキーの親友として知られている。

ハルトマンは幼くして孤児になり、サンクトペテルブルクの有名な建築家であったおじに引き取られた。ペテルブルク美術アカデミーに学び、当初は挿絵画家として活動した。

ノヴゴロドのロシア開基一千周年の記念碑をデザインし、1862年に除幕式が行われた。1864年から1868年まで外国に旅して、水彩画や鉛筆画を残した。

ロシアの芸術評論家スターソフの紹介で、ロシア「5人組」の一人バラキレフとの交流を持ち、1870年頃からムソルグスキーの親友となった。39歳で動脈瘤により夭折(ようせつ)した後、1874年の2月から3月まで、400点の遺作が母校ペテルブルク美術アカデミーに展示された。

ムソルグスキーはこの展覧会でのハルトマンの絵からインスパイアを受け、ピアノのための組曲『展覧会の絵』を作曲した。現在、この絵画作品のほとんどが散逸している。

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